2014年05月16日

治験依頼者による被験者との直接面談の是非

質問番号:2004-12 治験依頼者による被験者との直接面談の是非


GCP等に関連してご質問がございます。

治験依頼者と被験者とは直接面談できない事になっていると思いますが、法令では具体的にどこで規制されているのでしょうか。




●●● 製薬協見解 ●●●



GCP省令、その他の関連規定では、治験依頼者が被験者に直接面談することを明確に禁じている条項はありませんが、直接面談(医療機関内外で)は以下のことなどから、適切ではないと考えます:

1. ご存知のように、治験のシステムは治験依頼者が実施医療機関に治験の実施を依頼し、治験責任医師が治験実施計画書に従って被験者に必要な投薬、検査を行うことになっています。

被験者から治験に関して質問等がある場合は実施医療機関において対応していただくことになります。



2. 薬事法第80条の2第10項を始め、GCP第13条及び第51条等、被験者のプライバシー保護について様々な規制が設けられており、罰則(薬事法第86条の3第1項第5号)もあります。

治験依頼者による診療録の直接閲覧に関しましても、これらの規制を遵守して対応されています。

治験依頼者と被験者の直接面談は、被験者のプライバシーに関し直接閲覧よりも踏み込んだ状況と思われますので、通常はできないものと考えられます。




3. 治験中に治験依頼者が被験者に直接面談すると場合によっては、被験者の心理状態等に影響して、被験薬の正しい評価が損なわれる可能性があります。

なお、健康被害の補償の場合、まず、被験者と実施医療機関の間で協議していただき、その上で実施医療機関と治験依頼者で協議することが通常と考えられます。

被験者が特に治験依頼者との面談を希望される場合は、その理由を確認し、その上で最良の方策を決める必要があると考えます。




■■■■■ 関連するGCP等の条文 ■■■■■


●●●薬事法(昭和三十五年八月十日法律第百四十五号) 「第八十条の二第一項」


(治験の取扱い)

第八十条の二  治験の依頼をしようとする者は、治験を依頼するに当たつては、厚生労働省令で定める基準に従つてこれを行わなければならない。



2  治験(厚生労働省令で定める薬物又は機械器具等を対象とするものに限る。以下この項において同じ。)の依頼をしようとする者又は自ら治験を実施しようとする者は、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に治験の計画を届け出なければならない。

ただし、当該治験の対象とされる薬物又は機械器具等を使用することが緊急やむを得ない場合として厚生労働省令で定める場合には、当該治験を開始した日から三十日以内に、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に治験の計画を届け出たときは、この限りでない。



3  前項本文の規定による届出をした者(当該届出に係る治験の対象とされる薬物又は機械器具等につき初めて同項の規定による届出をした者に限る。)は、当該届出をした日から起算して三十日を経過した後でなければ、治験を依頼し、又は自ら治験を実施してはならない。

この場合において、厚生労働大臣は、当該届出に係る治験の計画に関し保健衛生上の危害の発生を防止するため必要な調査を行うものとする。



4  治験の依頼を受けた者又は自ら治験を実施しようとする者は、厚生労働省令で定める基準に従つて、治験をしなければならない。



5  治験の依頼をした者は、厚生労働省令で定める基準に従つて、治験を管理しなければならない。



6  治験の依頼をした者又は自ら治験を実施した者は、当該治験の対象とされる薬物又は機械器具等について、当該薬物又は機械器具等の副作用によるものと疑われる疾病、障害又は死亡の発生、当該薬物又は機械器具等の使用によるものと疑われる感染症の発生その他の治験の対象とされる薬物又は機械器具等の有効性及び安全性に関する事項で厚生労働省令で定めるものを知つたときは、その旨を厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣に報告しなければならない。

この場合において、厚生労働大臣は、当該報告に係る情報の整理又は当該報告に関する調査を行うものとする。



7  厚生労働大臣は、治験が第四項又は第五項の基準に適合するかどうかを調査するため必要があると認めるときは、治験の依頼をし、自ら治験を実施し、若しくは依頼を受けた者その他治験の対象とされる薬物又は機械器具等を業務上取り扱う者に対して、必要な報告をさせ、又は当該職員に、病院、診療所、飼育動物診療施設、工場、事務所その他治験の対象とされる薬物又は機械器具等を業務上取り扱う場所に立ち入り、その構造設備若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは従業員その他の関係者に質問させることができる。



8  前項の規定による立入検査及び質問については、第六十九条第六項の規定を、前項の規定による権限については、同条第七項の規定を準用する。



9  厚生労働大臣は、治験の対象とされる薬物又は機械器具等の使用による保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、治験の依頼をしようとし、若しくは依頼をした者、自ら治験を実施しようとし、若しくは実施した者又は治験の依頼を受けた者に対し、治験の依頼の取消し又はその変更、治験の中止又はその変更その他必要な指示を行うことができる。



10  治験の依頼をした者若しくは自ら治験を実施した者又はその役員若しくは職員は、正当な理由なく、治験に関しその職務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。これらの者であつた者についても、同様とする。







●●●GCP 第13条 「治験の契約」

11)被験者の秘密の保全に関する事項



●●●GCP 第51条 「説明文書」

10)被験者の秘密が保全されることを条件に、モニター、監査担当者及び治験審査委員会等が原資料を閲覧できる旨

11)被験者に係る秘密が保全される旨



以上


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2014年05月11日

治験薬安全性情報の提供の開始日

質問番号:2013-59 治験薬安全性情報の提供の開始日

治験依頼者による治験責任医師への安全性情報の報告は、下記の何れの日から発生するのでしょうか?

ある治験依頼者からは、治験責任医師と治験依頼者との治験実施計画書の合意日から発生すると言われました。

1. 治験の合意日

2. 治験の依頼日

3. 治験の契約日




<< 製薬協の見解 >>

安全性情報を提供する目的は、契約締結前後で少々異なります。

契約締結前に安全性情報を提供する目的は、治験責任医師となるべき者へ治験実施計画書の合意に必要な情報を提供することと、被験者への説明文書の作成に必要な情報を提供することにあります(GCPガイダンス第7条第4項/第5項1、第9条1)

ただし、契約締結前の安全性情報の提供時期まではGCPで規定していませんので、起点が合意日、依頼日のいずれでも、提供の目的が達成されるのであれば問題ではありません。

治験依頼者によって提供時期に多少の差異があるかと思いますので、個別に確認されることをお勧めします。



★その他の「治験119番」はこちら。
    ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/tiken119/


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2014年05月08日

治験協力者として指名された医師の業務範囲?

質問番号:2004-11 治験協力者として指名された医師の業務範囲

当院で実施中の治験の分担医師が異動になり、代わりに着任された医師が当院における標準業務手順書上の分担医師の条件を満たしていなかった(臨床経験の年数不足)ため、IRBで分担医師の変更申請を認めてもらえませんでした。

そこで、治験協力者として参加させるという案が浮上したのですが、治験協力者が医師の場合、治験関連業務として実施可能な業務はどのようになっているのでしょうか?

具体的には、治験薬の処方、検査オーダー、症例報告書の作成等が可能かどうかを教えていただければと思います。

大学病院では、研修医等が治験協力者として関わっていることがあるそうですが、どの程度までの業務を行っておられるのでしょうか?



●●● 製薬協見解 ●●●

「「治験協力者」とは、実施医療機関において、治験責任医師又は治験分担医師(以下「治験責任医師等」)の指導の下にこれらの者の治験に係る業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者をいう。」(GCP第2条14項)と規定されており、治験協力者が医師であっても、業務はいわゆる補助業務(同意取得の補助、モニタリング・監査への協力等)に限定されると考えます。

従って、医薬品を処方する場合は患者を自ら診察する必要があります(医師法第20条)が、被験者の診察を行うのは治験責任医師等ですので、治験薬の処方はできないと考えます。

検査のオーダーも同様と考えます。

症例報告書の作成について、治験協力者は補助(診療録からの単なる転記等)はできますが、治験責任医師等が行う医学的判断が必要な項目については、記載できないと考えます。

大学病院であっても、治験協力者としての業務内容・範囲には違いはないと考えます。





■■■■■ 関連するGCP条文 ■■■■■

(定義)

第2条

14 この省令において「治験協力者」とは、実施医療機関において、治験責任医師又は治験分担医師の指導の下にこれらの者の治験に係る業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者をいう。



医師法第20条
 ↓
http://www.houko.com/00/01/S23/201.HTM

第20条 医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。

但し、診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。


以上

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2014年05月04日

代諾者の範囲

質問番号:(4) 代諾者の範囲

治験における「代諾者」について教えてください。

1) GCPでは「この省令において「代諾者」とは、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これに準じる者をいう。」とされています。

ここにあげている「その他これに準じる者」とは、どのような立場の人を指しているのですか?

2) 傷病により意識がないか、意識障害のある場合において、代諾者に親族は含まれますか?

3) 含まれている場合、配偶者や親などの高位のものが優先されるべきかと思いますが、厳密に高位の方の意思を確認する必要はありますか?

4) 医師の説明を聞いた親族で良いですか?

5) 内縁関係にあるものは、代諾者に含まれるのですか?

6) 精神障害者の保護者は、配偶者、親権者、扶養義務者もしくは市長村長となっているようですが、この保護者にあたるかたすべてが代諾者になることはできますか?

親権者、後見人、親族、姻族の解釈は以下の通りと思っています。

親権者:親権を行う者 父母の婚姻中は父母が共に親権者となるが、父母が離婚したときはその一方のみが親権者となる。

後見人:(法)禁治産者又は親権者を欠く未成年者のために財産管理や身上監護の任に当たるべき者。法定代理人でもある。

親 族:民法上、六親等内の血族、配偶者及び三親等内の姻族をいう。

姻 族:婚姻によりできた親戚。配偶者の血族。すなわち夫からみて妻の父母兄弟の類。



<< 製薬協の見解 >>

1) GCP第2条ガイダンス11によれば、「被験者とともに、又は被験者に代わって同意をすることが正当なものと認められる者であり、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これらにに準じる者で、両者の生活の実質や精神的共同関係から見て、被験者の最善の利益を図りうる者」とみなすことができれば、すべて代諾者といえます。

なお、緊急時では、付き添いの友人ではどうかとの議論もあります。しかし、この場合は、GCP第55条(緊急状況下における救命的治験)で対応すべきで、代諾者としない方が妥当と思われます。


2) 親族といえども、1)の条件を満たさなければ、代諾者となりえません。

3) 一般的には、被験者との関係が近い方の(高位の)立場にある代諾者の意思を優先すべきです。

しかし、そのことについては、GCPで規定されていませんので、あまり固守する必要はないと考えています。

この場合も、やはり、1)の条件を満たしているか否かを判断の基準にすべきと思われます。

なお、複数の代諾者(の資格者)がいて、相反する考えを示したような場合、(1)被験者との関係がより近い方の(高位の)代諾者の考えを採用する、(2)同意が得られなかったとみなす、(3)第三者の意見を参考に判断する、等の対応が考えられますので、あらかじめ、その妥当性について治験審査委員会の意見を聴いておくと、その時になって慌てることなく適格な対応がとれると思われます。

4) 説明を聞いた親族であれば誰でもよいというわけではありません。やはり、1)の条件を満たしているか否かを判断の基準にすべきと思われます。

逆にいえば、1)の条件を満たしていることを確認したうえで説明することが肝要といえます。

5) 内縁関係であっても、1)の条件を満たしているのであれば、代諾者となりうると考えられます。



★その他の「治験119番」はこちら。
    ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/tiken119/


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2014年04月30日

診療録の外部保管は可能?

質問番号:2004-10 診療録の外部保管

GCP上ではカルテ等の記録についての記載がありますが、保管場所の記載がありません。

カルテは院内で保管しておかなければならないのでしょうか。

施設外のしかるべき場所で適切に保管し、必要時には電送等で対応することはGCP上問題ないでしょうか。




●●● 製薬協見解 ●●●

カルテの保管場所につきましては、「診療録等の保存を行う場所について」(平成14年3月29日付、医政発第0329003号・保発第0329001号厚生労働省医政局長、保険局長通知)におきまして、作成した病院又は診療所以外の場所における保存が可能であること及びその際に遵守すべき基準が示されています。
  ↓
http://www.medis.or.jp/2_kaihatu/denshi/file/140405-a.pdf



また、調査した範囲では本通知以外に:

・「診療録等の保存を行う場所について」の一部改正について(平成25年3月25日付、医政発0325第15号・医薬発0325第9号・保発0325第5号 厚生労働省医政局長、厚生労働省医薬食品局長、厚生労働省保険局長通知)
  ↓
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/dl/01-08.pdf



・診療録等の外部保存に関する通知として・診療録等の外部保存に関するガイドラインについて(平成14年5月31日付、医政発第0531005号)
  ↓
http://www.higashiyama.kyoto.med.or.jp/images/140613-b.pdf


・民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律等の施行等について(平成17年3月31日付、医政発第0331009号・薬食発第0331020号・保発第0331005号 厚生労働省医政局長、厚生労働省医薬食品局長、厚生労働省保険局長通知)及び当該通知が参照する「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の改訂版
  ↓
http://www.medis.or.jp/2_kaihatu/denshi/file/170331-a.pdf


・記録、帳簿の電子媒体による保存について(平成14年8月13日、医薬発第0813001号厚生労働省医薬局長通知)
  ↓
http://jsrttb.met.nagoya-u.ac.jp/newweb/topics/densibaitai.htm

などがありました。以上より、これらの通知・基準を満たす場合には、診療録等の外部保存は可能です。



一方、ご質問の通りGCP上、カルテの保管場所についての記載はありませんが、治験に係る文書又は記録の保管につきましては、実施医療機関の長が記録保存責任者を置くこと(GCP第41条第1項)、「〜紛失又は廃棄されることがないように、また、求めに応じて提示できるような措置を講じなければならない。」(GCP第41条第2項ガイダンス2)と定めております。

したがいまして、記録保存責任者の下、治験依頼者が行うモニタリング及び監査並びに治験審査委員会及び規制当局による調査を受け入れ、原資料(カルテ等原本)等を直接閲覧に供することが規定されていますので、これに対応できる保管体制が必要と考えます。

特に紙原本のカルテの場合には、治験終了後しばらくは院内にて保管する必要があると考えます。

また、紙原本のカルテを治験終了後に外部保管する場合には、時期、保管期間、保管責任者、保管方法、保管場所等を手順書に明記して、適切に運用することが必要と考えます。(特に保管期間につきましては、治験の場合、GCP第41条第2項に規定される期間が医師法第24条第1項の規定より長い場合はGCPに従うことになりますので注意が必要です)

なお、モニタリング、監査、当局等による調査では上記のように原本を示す必要があり、調査時には原本を取り寄せておかなければならず、写しでは代用できません。

医療機関内で手順を規定し、定められた手順に従って記録・保管されて真正性・見読性・保存性を保証出来る状態にあれば、紙原本から電子原本に変更することは可能と考えられます。



■■■■■ 関連するGCP条文 ■■■■■


(記録の保存)

第41条

実施医療機関の長は、記録保存責任者を置かなければならない。

2 前項の記録保存責任者は、次に掲げる治験に関する記録(文書を含む。)を被験薬に係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日(第24条第3項又は第26条の10第3項の規定により通知を受けたときは、通知を受けた日後3年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間保存しなければならない。

1)原資料

2)契約書又は承認書、同意文書及び説明文書その他この省令の規定により実施医療機関に従事する者が作成した文書又はその写し

3)治験実施計画書、第32条第1項から第3項までの規定により治験審査委員会等から入手した文書その他この省令の規定により入手した文書

4)治験薬の管理その他の治験に係る業務の記録


【ガイダンス】

2 実施医療機関の長又は記録保存責任者は、これらの記録がこの保存義務期間中に紛失又は廃棄されることがないように、また求めに応じて提示できるように必要な措置を講じておくこと。


以上

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2014年04月27日

IRBで審議する際の「軽微な変更」の範囲

質問番号:2004-09 IRBで審議する際の「軽微な変更」の範囲

今回迅速審査についてお訊ねいたします。

当院の手順書には以下の様に記されています。

治験審査委員会は、承認済の治験について、治験期間内の軽微な変更の場合には、迅速審査を行なうことが出来る。

迅速審査の対象か否かの判断及び審査方法は治験審査委員会委員長が行う。

なお、軽微な変更とは、変更により生ずる危険性が、被験者の日常生活における危険性又は通常行われる理学的あるいは心理学的検査における危険性より高くない変更をいい、何らかの身体侵襲を伴う検査を伴う変更は除く。とされています。


今回受託中の治験に関し、症例数の追加を考えております。

このような場合は軽微な変更に入るのでしょうか。

現時点で契約症例数を超える患者様への同意取得は可能でしょうか(4症例契約し、3症例実施、1症例は同意を取得していますが、治験薬開始は至っておりません)

さらに軽微な変更とは、どのような場合を示すのでしょうか。





●●● 製薬協見解 ●●●

GCP第28条第2項ガイダンス2(3)Cにおいて、治験審査委員会により既に承認された進行中の治験に関わる軽微な変更については、迅速審査で審査を行うことができる旨が記載されています。

さらに、「進行中の治験に関わる軽微な変更」として、「治験の実施に影響を与えない範囲で、被験者に対する精神的及び身体的侵襲の可能性が無く、被験者への危険を増大させない変更をいう。」と記載されています。

「症例数の追加」については、当該治験全体における予定症例数の追加でない限りは、基本的に治験審査委員会での審査は必要ありません。



■■■■■ 関連するGCP条文 ■■■■■

(治験審査委員会の構成等)

第28条

治験審査委員会は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。


【ガイダンス】

C 治験審査委員会により既に承認された進行中の治験に関わる軽微な変更に関して、迅速審査と承認を行う場合の条件(迅速審査の適用範囲、判断する者、審査方法、次回に開催される治験審査委員会への報告等)を定めること。

なお、この場合の「進行中の治験に関わる軽微な変更」とは、治験の実施に影響を与えない範囲で、被験者に対する精神的及び身体的侵襲の可能性がなく、被験者への危険を増大させない変更をいう。



以上


posted by ホーライ at 21:05| Comment(0) | TrackBack(0) | IRB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

症例報告書への同意取得日の記載方法

質問番号:(3) 症例報告書への同意取得日の記載方法

外来治験において、同意書の患者署名日と同意書を担当医師が受け取り確認する日が異なることは通常起こっていることです。

登録書やCRFに「文書同意取得日」、「本人文書同意取得日」等を記載するとき、署名日を記載するのか、同意書を受け取り同意確認が成立した日を記載するのか悩むことがあります。

どちらを記載するべきなのでしょうか?



<< 製薬協の見解 >>

「文書同意取得日」とか「本人文書同意取得日」といった用語は、GCP上定義されていないこともあり、確かに「被験者が同意書に署名した日」とも「治験責任医師等が同意文書を受け取りその内容確認した日」とも受け取ることができます。

特に、被験者(の候補者)には可能な限り十分な時間を与え治験への参加同意を求めることが強調されている昨今、お問合せのような状況が頻発すると想定されるため、治験依頼者と治験責任医師等との間に認識の食い違いをなくしておくことが急務と考えます。


治験依頼者すべてが同じ考えで「文書同意取得日」等の用語を使用しているわけでない現状においては、個々の治験の開始に先立って、これらの用語について、当該治験依頼者と協議の上お進めいただくこと以外によい対応策が見つかりません。


なお、「文書同意取得日」等の用語を使用しないのであれば、GCP第52条1項において、「同意は、…治験に参加することに同意する旨を記載した文書(同意文書)に、説明を行った治験責任医師等及び被験者となるべき者が日付を記載して、これに記名なつ印し、又は署名しなければ、効力を生じない。」と規定されていることから、例えば、治験責任医師に同意文書の記載欄を「説明年月日、説明者署名、同意年月日、同意者」としていただいた上で、これらの記載と整合するような表示の欄を登録書(票)や症例報告書に設けることも一方法と考えます。


★その他の「治験119番」はこちら。
    ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/tiken119/
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2014年04月24日

治験実施医療機関 診療科の名称変更に伴う手続き

質問番号:2011-12 治験実施医療機関 診療科の名称変更に伴う手続き

治験実施診療科名が循環器科から循環器内科に変更になりました。

内容が軽微であるため、治験事務局の見解としては、読み替えレター対応で可能と考えておりますが、各治験依頼者で見解に相違があるため、苦慮しております。


適切な対応についてご教示いただけませんでしょうか。


ちなみに現在実施中の治験依頼者へ確認したところ、1社は、契約書を含めすべて(治験分担医師・協力者リスト、履歴書、同意説明文書等)読み替えレターで対応可能との返事でしたが、1社は、変更申請書(書式10)の提出及び契約書の変更、履歴書の最新版が必要との見解でした。





<< 製薬協の見解 >>

GCP第28条第2項運用通知2(7)Aでは、診療科名の変更につきましては、事務的事項に関する変更として取り扱われています。

このような事務的事項の変更の取扱いにつきましては、貴院の業務手順書に従って対応いただくことになります。

なお、診療科名の変更につきましては、実施医療機関内で周知されている内容と考えられますので、ご質問のような読み替えレター等による対応で問題ないものと考えます(過去の見解2007-33、2008-36もご参照下さい)


また、新たに被験者に治験への参加について説明される場合には、連絡先としまして最新の診療科名が記載された説明文書を用いて説明することが望ましいと考えますが、本説明文書の変更は被験者の意思に影響を与える内容ではありませんので,治験審査委員会での審査は不要と考えます。




●その他の「治験119」はこちら
  ↓
http://192.168.4.7/Clinical/Education/chiken_119/120317.pdf



posted by ホーライ at 22:49| Comment(0) | TrackBack(0) | GCP全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

治験依頼者側の契約当事者及び契約書における健康被害補償の条文

質問番号:2004-07 治験依頼者側の契約当事者及び契約書における健康被害補償の条文

当院に申請される開発治験に関して依頼者から以下の質問を受けました。

@ 契約者名を「代表取締役 社長」ではなく「常務執行役員 新薬開発本部長」とすることは可能でしょうか。

A「契約書:被験者の健康被害の補償」 について、下記のとおり条文を変更することは可能でしょうか。

「【施設様式】重大な過失により生じた場合 → 【治験依頼者様式】甲の責に帰す場合」

ただし、治験依頼者の考えとして、重大な過失を下記の定義であることを確認できれば問題はないと考えます。

重大な過失の定義

医療機関側の過失で、1.死に至る健康被害の結果となったもの2.生命を脅かす、又は死亡につながるおそれのある健康被害の結果となったもの3.後遺障害に至る健康被害の結果となったもの

契約書の文言を、「重大な過失により生じた場合」 → 「甲の責に帰す場合」と変更することに何か問題はあるでしょうか。





●●● 製薬協見解 ●●●

ご質問@について

治験の契約は医療機関と治験依頼者とのいわゆる法人の間の契約ですので、社内の取り決めで契約の締結の権限が与えられている人であれば、法人の長でなくても契約者になることは可能です。


ご質問Aについて

治験依頼者の様式にすることは問題ないと考えられます。

ただし、後段に示されています「重大な過失」の定義としてお考えの内容は、有害事象の程度(重篤度)に関するものであり、「過失」の重大さには関連しておらず(重篤な副作用は過失の有無に関連なく発生します)、「重大な過失」の定義としては不適切と考えます。

「重大な過失」もしくは「過失」の定義に関しては法律的な解釈が必要であり、統一された基準も現在のところありませんので、申し訳ありませんが製薬協治験119としてお答え致しかねます。




■■■■■ 関連するGCP条文 ■■■■■

第13条 (治験の契約)

治験の依頼をしようとする者及び実施医療機関(前条の規定により業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、治験の依頼をしようとする者、受託者及び実施医療機関)は、次に掲げる事項について記載した文書により治験の契約を締結しなければならない。

1)契約を締結した年月日

2)治験の依頼をしようとする者の氏名及び住所

3)前条の規定により業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、受託者の氏名、住所及び当該委託した業務の範囲

4)実施医療機関の名称及び所在地

5)契約担当者の氏名及び職名

6)治験責任医師の氏名

7)治験の期間

8)治験薬の管理に関する事項

9)記録(データを含む。)の保存に関する事項

10)この省令の規定により治験依頼者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項

11)被験者の秘密の保全に関する事項

12)治験の費用に関する事項

13)実施医療機関が治験実施計画書を遵守して治験を行う旨

14)実施医療機関が治験依頼者の求めに応じて第41条第2項各号に掲げる記録(文書を含む。)を閲覧に供する旨

15)実施医療機関がこの省令、治験実施計画書又は当該契約に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、治験依頼者が治験の契約を解除できる旨

16)被験者の健康被害の補償に関する事項

17)その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項


以上

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2014年04月22日

治験中に被験者が受診した他の医療機関からの診療情報収集

質問番号:2004-06 治験中に被験者が受診した他の医療機関からの診療情報収集


当院で治験実施中の患者さまが他の医療機関を受診された場合,その医療機関における必要な患者情報を入手するために,主治医に書面やお電話で情報提供をご依頼したのにもかかわらず,思うように結果が得られないことがあります。

何度か情報収集に努めたにもかかわらず,十分な情報が提供されなかった場合,その時点で得られた情報のみを報告すればよいのでしょうか。

また,他の医療機関に対して,臨床試験における情報収集の目的で,カルテの開示を求めることは可能でしょうか。

そのような場合には,法律を守るためにどのような手続きをとればよいのでしょうか。

臨床試験における,カルテ開示に関する法的手続きなどを含めてお教えいただきたく,よろしくお願い申し上げます。




●●● 製薬協見解 ●●●

医療機関の間での診療情報提供について、現在調査した範囲では、医療法第1条の4第3項、保険医療機関及び保険医療養担当規則第16条の2、及び「診療情報等の提供に関する指針」(平成22年9月17日改正厚生労働省医政局医事課)の10にありますが、いずれも提供する情報の範囲については明記してありません。

診療録の第三者への開示については、秘密の漏洩に関する規定(医療法第72条)以外は、手続きに関する法的規制は調査した範囲ではありませんでした。


治験の安全性、有効性を確認(特に、被験者の安全性を確保)する上で、治験中の他の医療機関による診療情報は重要です。



他の医療機関に診療情報の提供を依頼する手順として以下のことが考えられます。

まず、被験者の方から文書で同意を得た上で、その同意文書を添付して治験責任医師が文書で依頼します。

依頼をされる際に、治験に参加していただいている被験者の安全性確保に他の医療機関の診療情報が重要であること、必要とされる情報の範囲を明確にすると他の医療機関も診療情報の提供について理解し、提供していただきやすいと考えます。



提供された情報及び被験者の方から得た情報(他の医療機関で薬剤が処方されている場合は、その薬を持参してもらい内容を確認します)の範囲で症例報告書に記載することになります。

尚、想定はできませんがご質問にあります、他の医療機関の診療録の内容を確認する必要性が生じた場合、他の医療機関の診療録の内容を確認することが必要と判断された場合は、被験者の方の同意を文書で得た上で、治験責任医師が上記と同様にして依頼することになります。

ただし、診療録の第三者への開示については、法的に定められた手続きは調査した範囲では見当たりませんので、相手の医療機関とご相談の上、その院内手続きを尊重して行うことになると考えます。

また、診療録の開示は通常患者本人又は患者が死亡の場合は遺族にのみ認められていること、及び個人情報の保護に十分留意されることが必要と考えます。

いずれにしても、診療録に適宜これらを記録し、また、診療情報の提供の依頼及び情報の受領は文書で行い、原資料の一部として保管するようお願いします。


【見解改訂理由】

「診療情報等の提供に関する指針」(平成22年9月17日改正厚生労働省医政局医事課)の発出に伴い、参照を変更しました。


■■■■■ 関連するGCP条文 ■■■■■

(被験者に対する責務)

第45条

治験責任医師等は、治験薬の適正な使用方法を被験者に説明し、かつ、必要に応じ、被験者が治験薬を適正に使用しているかどうかを確認しなければならない。

2 治験責任医師等は、被験者が他の医師により治療を受けている場合には、被験者の同意の下に、被験者が治験に参加する旨を当該他の医師に通知しなければならない。


<ガイダンス>

2 治験責任医師等は、被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の治験への参加について知らせること。


以上

posted by ホーライ at 22:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 被験者の安全確保 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする