2014年05月20日

複数医療機関で一つの治験を実施する場合の留意点

質問番号:2004-14 複数医療機関で一つの治験を実施する場合の留意点

大学の附属病院ですが、別病院扱いとなる医学部附属病院(以下、医病院と略)と附属○○医療センター(以下、センターと略)とで、同一プロトコル、同一患者、同一治験担当医師(医師は、医病院とセンターの兼務となつており、それぞれ医病院の第○○科、センターの○○科に所属)にて1週間の入院、(センター)から3週間の外来(医病院)移行の治験(入院・外来ともに同一治験薬服用)を計画しております(医病院・センター・依頼者の3者契約)。

IRBの審査依頼は、それぞれ医病院長、センター長より発生し、CRFの作成(両施設毎に各1冊、計2冊)、記録の保存(医病院、センターにてそれぞれ)等の対応を考えておりますが、GCP上問題となる点はないのでしょうか?

また、必要と考えられる手続き及び文書等がありましたら併せてご助言をお願いいたします。

なお、医病院では、日常診療においても検査等については、センターで実施しております。

また、IRBは大学設置のIRBにて全附属病院からの審査依頼を受けて審査をしています。




●●● 製薬協見解 ●●●

可能であれば、1施設内で治験を行うことが望ましいと考えます。

やむを得ず、2施設を使用する場合、1施設で実施する治験と手順等が種々の点で異なると思われますので、これらの点を十分検討し、明らかにして適切に対応されている限り、GCP上可能と考えます。

以下に検討が必要と考えられる主な点をお示しします。

・説明文書内容

・同意取得方法

・症例報告書の作成手順

・治験薬の管理

・センターから医病院に被験者が移動したときのセンターにおける被験者の扱い

・治験に関する情報の医療機関内での伝達先

・治験依頼者への通知方法

・モニタリング・監査の受入れ手順

・各施設に対する終了報告の内容、提出先

・将来的な規制当局調査受け入れ時の対応

・治験関連記録・資料の保存

その他にも実施に際して考慮すべき事項が発生する可能性があると思われますので、貴院の手順書及び治験実施計画書に沿った治験実施について予め治験依頼者と十分ご検討いただくことが良いと考えます。

また、今後、このような2施設での治験の実施が将来も考えられる場合は、手順を作成しておくことが望ましいと考えます。


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2014年04月24日

治験実施医療機関 診療科の名称変更に伴う手続き

質問番号:2011-12 治験実施医療機関 診療科の名称変更に伴う手続き

治験実施診療科名が循環器科から循環器内科に変更になりました。

内容が軽微であるため、治験事務局の見解としては、読み替えレター対応で可能と考えておりますが、各治験依頼者で見解に相違があるため、苦慮しております。


適切な対応についてご教示いただけませんでしょうか。


ちなみに現在実施中の治験依頼者へ確認したところ、1社は、契約書を含めすべて(治験分担医師・協力者リスト、履歴書、同意説明文書等)読み替えレターで対応可能との返事でしたが、1社は、変更申請書(書式10)の提出及び契約書の変更、履歴書の最新版が必要との見解でした。





<< 製薬協の見解 >>

GCP第28条第2項運用通知2(7)Aでは、診療科名の変更につきましては、事務的事項に関する変更として取り扱われています。

このような事務的事項の変更の取扱いにつきましては、貴院の業務手順書に従って対応いただくことになります。

なお、診療科名の変更につきましては、実施医療機関内で周知されている内容と考えられますので、ご質問のような読み替えレター等による対応で問題ないものと考えます(過去の見解2007-33、2008-36もご参照下さい)


また、新たに被験者に治験への参加について説明される場合には、連絡先としまして最新の診療科名が記載された説明文書を用いて説明することが望ましいと考えますが、本説明文書の変更は被験者の意思に影響を与える内容ではありませんので,治験審査委員会での審査は不要と考えます。




●その他の「治験119」はこちら
  ↓
http://192.168.4.7/Clinical/Education/chiken_119/120317.pdf



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2014年04月19日

治験受託前のカルテスクリーニング(その3)

質問番号:2013-57 治験受託前のカルテスクリーニング(その3)

契約前にスクリーニングリストを提出することは可能でしょうか?

すでに「2013-14 治験受託前のカルテスクリーニング(その2)」で、「当該医療機関が示す個人情報利用目的の範囲内」であれば、問題ないとのご見解をいただいております。

ただ、実際には契約前の治験の予備調査目的でカルテ閲覧を行うことを個人情報利用目的に明示してスクリーニングを実施している医療機関は少ないと思いますので、施設側では非常にグレーゾーンの運用になっているのが現実ではないかと感じています。





<< 製薬協の見解 >>

個人情報利用目的の範囲内か否かは、最終的には実施医療機関でご判断いただく必要があります。

2013-14にお示ししましたように、スクリーニングリストは匿名化して個人を特定できないようにして提供されるべきものです。

当該リストの提供が、貴院の個人情報の利用目的から外れると判断される場合は、調査の可否や内容、治験受諾可否も含めて、適切に対応していただくことが必要と考えます。


★その他の「治験119番」はこちら。
    ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/tiken119/

posted by ホーライ at 20:48| Comment(0) | TrackBack(0) | GCP全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月16日

GCP省令の引用方法

質問番号:2004-02 GCP省令の引用方法

依頼者は、『治験実施計画書』の記載項目の一つに、必ず、倫理として、「本治験はヘルシンキ宣言に基づき……“医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年3月27日厚生省令28号)”、を遵守し、本治験を実施する。」を記載されます。

ここで用いられる省令に関してですが、 上記「 」は勿論【新GCP】に対する内容で、平成15年7月30日からは【改正GCP】が施行されています。

【改正GCP】は【新GCP】を含み、医師主導の臨床試験などの規定が加わったものと理解していますので、上記「 」には、“医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令(平成15年厚生労働省令第106号)”が記載されるべきであると考えます。

平成15年8月以降に開始されるプロトコールに対する『治験実施計画書』の記載としては、

@【新GCP】に対する省令を記載(平成9年)

A【改正GCP】に対する省令を記載(平成15年)

B【新GCP】及び【改正GCP】の両方に対する省令を併記(平成9年及び平成15年)

上記の@〜Bのどれが正しいのでしょうか?





●●●製薬協見解●●●


法律・省令等で他の法律・省令等を引用する場合には、最初に制定されたときの法律・省令番号、制定日が記載されております。

実際にGCP省令では薬事法を引用していますが、最初の法律番号、制定日を記載しています。

よって、最初に制定された法律・省令番号、制定日を記載することで、それ以降行われた改正を含んでいると解釈できます。

このことより、治験実施計画書や契約書等でGCP省令を記載する場合は、省令の正式名称、最初の制定日、省令番号を記載し、略語を使用する場合は「以降GCPと略す」等と記載することでよいと考えられます(@でよいと考えられます)。

なお、平成15、16、18、20、24年に出された省令(第106号、第172号、第72号、第24号、第161号)は改正の部分のみを示していますので、単独でGCPとして契約書に記載することは適切でないと考えられます。

また、「新GCP」という呼称が薬発第430号(平成9年3月27日)で使用されていますが、医薬発第0612001号(平成15年6月12日)では単に「GCP」となっており、今後呼称としては「GCP」と記載するほうがよいと思われます。


以上

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2005年12月04日

治験のGCPの目的

1.目的

本基準は、医薬品の製造(輸入)承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行われる臨床試験(以下、「治験」という。)の計画、実施、モニタリング、監査、記録、解析及び報告等に関する遵守事項を定め、被験者の人権、安全及び福祉の保護のもとに、治験の科学的な質と成績の信頼性を確保することを目的とする。


ポイントは「被験者の人権、安全及び福祉の保護のもとに、治験の科学的な質と成績の信頼性を確保することを目的とする」ですね。

posted by ホーライ at 05:13| Comment(0) | TrackBack(2) | GCP全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする