契約(研究)期間終了後の追跡調査に関し、新たな(あるいは継続)契約が必要か否かについて 本年3月31日に終了した(=契約書の研究期間)治験について、3月末の最終検査で有害事象(検査値の異常変動)が発現したため、治験実施計画書に従い追跡調査を実施していただいた。
これについて、治験事務局は契約が必要か否か判断できないため、治験依頼者が不要と考えるのであればその根拠(見解)を示せとのことであった。
そこで、会社法務部門の了解を得て提出しようとしたところ、治験依頼者の私的見解ではなく、当局あるいは製薬協などがどのように考えているか確認し、示して欲しいとのことであった。
治験事務局に他に事例(経験)はないかお伺いしましたが、他は、追跡調査を網羅する契約を予め締結しており(?)、本件のような事例は初めてとのこと。
なお、現時点で既に追跡調査は実施済みであり、回答は早急(5月末位)に必要なため、契約を不要とする根拠を探すよりも、追跡調査のために新たな契約を締結した方が話しは早いと考え、4月1日以降の追跡調査実施の正当性を確保(網羅)する契約を現時点で締結する方向で考えております。
<< 製薬協の見解 >>
治験契約書で取決められる「治験の期間」は、通常、当該実施医療機関において、治験実施計画書で規定される治験薬の投与又は検査・観察が全て終了されるまでの期間をさして扱われていますが、もちろん法的な裏付けがあるわけでありません。
このため、まずは、契約の当事者間において「治験の期間」の認識を共通のものにするため、あらかじめ、両者で十分に話し合っておく必要があります。
さて、有害事象発現症例に対する追跡調査については、GCPの規定に沿って、
(1) その必要性が治験実施計画書で規定されている
(2) 原契約において「治験実施計画書を遵守した治験の実施の必要性(GCP第13条1項13号)」と「被験者に対する健康被害補償の取り扱い(GCP同条同項第16号)」が規定されているといった措置がとられているはずです。
すなわち、たとえ、有害事象発現症例に対する追跡調査の実施時期が「治験の期間」の枠外となったとしても、その実施が契約上担保されているといえますので、特段の不都合が生じるとは考えられません。
従って、治験契約を更新等の手続きは、一般的には、必ずしも必要ないと考えられます。
なお、同様のことは、「記録の保存(GCP同条同項9号)」、「被験者の秘密の保全(GCP同条同項11号)」、「治験依頼者の求めに応じた実施医療機関の原資料等の閲覧への協力(GCP同条同項14号)」等の契約事項についてもいえます。
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