2014年04月17日

医科大学教職員の外部委員指名の妥当性

質問番号:2004-03 医科大学教職員の外部委員指名の妥当性

IRBのメンバーについての質問ですが、医科大学教養部の教授を、当院と利害関係のない外部委員としておりますが、GCP上問題はないでしょうか?

なお、IRBの設置者は、医科大学学長で、実際の運用は医学部病院長に委嘱されています。

本学のいくつかの附属病院のそれぞれの病院長からの審査依頼を受けて、IRBを開催しております。




●●●製薬協見解●●●

「大学医学部附属病院の場合は、他学部の教員は実施医療機関と業務上の関係がない場合は、利害関係がないと考えられる」とGCP第28条第1項ガイダンス5にあります。

しかし、医科大学のような場合、医学部とは別の学部の教授の場合でも教授会等で附属病院の運営等に間接的に関与する場合があり、附属病院との利害関係がないことを示すことは難しいのではと考えられます。

更に、学長がIRBの設置者になっており、運営を病院長が行っていますので、教授が他学部であっても利害関係がないことを示すことは困難と考えられます。

これらのことから、IRBを構成する要件の一つである「実施医療機関と利害関係を有しない委員」 の指名に際しては疑念を受けないことが肝要であり、できるだけ学外の方にお願いされるべきと考えますが、学内の方を委員に指名する場合は、実施医療機関との利害関係(例えば大学内の会議組織上、業務上)がないことを示す必要があると考えます。


■■■■■ 関連するGCP条文 ■■■■■

(治験審査委員会の構成等)

第28条 治験審査委員会は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。

1)治験について倫理的及び科学的観点から十分に審議を行うことができること。

2)5名以上の委員からなること。

3)委員のうち、医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者以外の者(次号及び第5号の規定により委員に加えられている者を除く。)が加えられていること。

4)委員のうち、実施医療機関と利害関係を有しない者が加えられていること。

5)委員のうち、治験審査委員会の設置者と利害関係を有しない者が加えられていること。



〈第1項〉

1 治験審査委員会は、治験について倫理的、科学的及び医学的・薬学的観点から審議及び評価するのに必要な資格及び経験を、委員会全体として保持できる適切な数の委員により構成するものとし、次に掲げる条件をすべて満たしていること。

(1)少なくとも5人の委員からなること。

(2)少なくとも委員の1人は、医学・歯学・薬学等の自然科学以外の領域に属していること。

(3)少なくとも委員((2)に定める委員を除く。)の1人は、実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設と関係を有していないこと。

(4)少なくとも委員((2)に定める委員を除く。)の1人は、治験審査委員会の設置者と関係を有していないこと。

2 治験審査委員会の委員は、実施医療機関の長又は第27条第1項の治験審査委員会の設置者が選任すること。

3 委員の数は、少なくとも5名と規定しているが、委員の数がこれよりも多い場合には、同項第3号、第4号又は第5号の委員の数を増やす等により、委員構成を適正な割合に保つことが必要である。

4 実施医療機関の長は、自らが設置する治験審査委員会に出席することはできるが、委員になること並びに審議及び採決に参加してはならない。

5 実施医療機関の職員等は、「実施医療機関と利害関係を有しない者」に該当しない。

ただし、例えば、実施医療機関が複数の学部を有する大学の医学部の附属病院である場合に、他学部(法学部等)の教員で実施医療機関と業務上の関係のない場合には、「実施医療機関と利害関係を有しない者」の対象と考えられる。

6 第4号及び第5号に該当する委員は、同一人物であることもあり得るが、別人であるか複数であることが望ましい。

7 治験審査委員会の設置者の役員、職員又は会員等は、「治験審査委員会の設置者と利害関係を有しない者」に該当しない。

8 治験審査委員会の各委員は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則、GCP省令、薬事法、その他治験に係る法令及び行政通知等の内容を理解していること。

9 治験審査委員会は、男女両性で構成されることが望ましい。

10 治験審査委員会は、委員以外の特別な分野の専門家に出席を求め、その協力を得ることができる。



以上


posted by ホーライ at 06:11| Comment(0) | TrackBack(0) | IRB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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