質問番号:2014-29 治験審査委員会の審査の委託と院内治験審査委員会
SMOとして実施医療機関の事務局業務を実施しています。
担当施設においては、院内IRBを設置していますが、セントラル化の推奨を説明し、外部治験審査委員会への委託について条件付きで了承いただきました。
条件は、以下の通りです。
・院長が自らの意思で外部治験審査委員会への委託が決められないとのことで、外部治験審査委員会への委託にあたって、対象疾患、治験デザイン、副作用、委託先治験審査委員会情報などを院内IRBにて委員の意見を聞き、院長が承認した場合に委託を行う。
・外部治験審査委員会へ委託した治験において、安全性情報など被験者の意思に影響のある情報や、院内の被験者において重篤な副作用が発生した場合は、院内IRBへ報告し、院長が各委員の意見を聞く。
外部治験審査委員会へ委託した治験において、院内IRBで審議ではないものの、院長および各委員に情報を伝え、院長が各委員の意見を聞くことはGCP上問題ないのでしょうか?
資料についても外部治験審査委員会への審査と同様の資料の準備を求められています。
外部治験審査委員会も招集することを希望されています。
外部治験審査委員会へ委託した治験の審査は、院内IRBでの審査は不要と説明しているのですが、院内で実施されている治験の情報は周知しておくべきとのことで、ご理解いただけません。
<< 製薬協の見解 >>
実施医療機関の長は、適切な治験審査委員会を選択するために必要な手順を定めることが求められています(GCP第27条第1項ガイダンス2)。
実施医療機関の長が審査を委託する治験審査委員会を選択できないのであれば、自身が設置する治験審査委員会に意見を聞くことも一方法であるとは思われます。
実施医療機関の長は2つ以上の治験審査委員会の意見を聞くことはできます(GCP第30条第1項ガイダンス2)。
しかし、外部治験審査委員会への審査委託を検討するために、審査会議を開催し、治験実施計画書をレビューする等、通常の審査を院内治験審査委員会でも行うのであれば、手続きが煩雑化し時間も要しますので、治験審査委員会の選択手順に効率的な運用が望まれます。
また、審査を委託した治験審査委員会は、倫理的、科学的及び医学的・薬学的観点から適切な審議及び評価を行うことができる委員会であるはず(GCP第27条第1項ガイダンス2)ですので、治験中に安全性情報等を院内治験審査委員会で審査するのであれば、外部に審査委託した利点が活かせないかと思われます。
2つ以上の治験審査委員会に意見を聞くためには、治験依頼者及び実施医療機関に多大な業務量が生じますので、1つの治験審査委員会に審査を全面的に依頼する方向で、治験審査委員会の選択方法と審査委託の意義を検討されることをお勧めします。
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