2014年05月25日

治験薬安全性情報の提供の開始日

質問番号:2013-59 治験薬安全性情報の提供の開始日

治験依頼者による治験責任医師への安全性情報の報告は、下記の何れの日から発生するのでしょうか?

ある治験依頼者からは、治験責任医師と治験依頼者との治験実施計画書の合意日から発生すると言われました。

1. 治験の合意日

2. 治験の依頼日

3. 治験の契約日




<<製薬協の見解>>

安全性情報を提供する目的は、契約締結前後で少々異なります。

契約締結前に安全性情報を提供する目的は、治験責任医師となるべき者へ治験実施計画書の合意に必要な情報を提供することと、被験者への説明文書の作成に必要な情報を提供することにあります(GCPガイダンス第7条第4項/第5項1、第9条1)

ただし、契約締結前の安全性情報の提供時期まではGCPで規定していませんので、起点が合意日、依頼日のいずれでも、提供の目的が達成されるのであれば問題ではありません。

治験依頼者によって提供時期に多少の差異があるかと思いますので、個別に確認されることをお勧めします。


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2014年05月22日

同意文書への記名捺印又は署名の取扱い

質問番号:2004-15 同意文書への記名捺印又は署名の取扱い

同意書への被験者、治験責任医師等の署名について質問があります。

当院ではGCP第52条(同意文書等への署名等)「・・・、これに記名なつ印し、又は署名しなければ、効力を生じない。」との記載を受け、同意書の署名欄横に「(記名捺印又は署名)」と記載するように規定しておりました。

しかし、IRB委員より「身体、健康に影響を及ぼす可能性のある事柄の同意書における意思の確認は記名捺印では不適切とされている。

署名は本人の自署、あるいは自署の代行とされており、試験参加の意思を明らかに示すものとしては署名に限るべき」との意見があり、「(記名捺印又は署名)」としていたものを「(署名)」とすることを検討しています。

記名捺印は手が不自由で自署が不可能な場合などに適応が想定されますが、現実的には全例自署で実施されてきており、当院においては運用上は署名のみとすることには問題ないと考えていますが、GCP上で「記名捺印又は署名」とされているものを「署名」のみに限る記載にしても、依頼者側のSOPとしては問題はないのか教えてください。




●●● 製薬協見解 ●●●

治験依頼者のSOPについて製薬協として把握しておりませんので、全ての治験依頼者が受け入れるかどうかは申し上げられませんが、GCPでは記名押印又は署名のいずれかを規定していますので、依頼者側から署名のみでは問題とする理由はないと思われます。

また、被験者による署名を原則とし、被験者が何らかの理由により自署が不可能である場合は、記名押印(又は拇印)とされることが望ましいと考えます。

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2014年05月20日

複数医療機関で一つの治験を実施する場合の留意点

質問番号:2004-14 複数医療機関で一つの治験を実施する場合の留意点

大学の附属病院ですが、別病院扱いとなる医学部附属病院(以下、医病院と略)と附属○○医療センター(以下、センターと略)とで、同一プロトコル、同一患者、同一治験担当医師(医師は、医病院とセンターの兼務となつており、それぞれ医病院の第○○科、センターの○○科に所属)にて1週間の入院、(センター)から3週間の外来(医病院)移行の治験(入院・外来ともに同一治験薬服用)を計画しております(医病院・センター・依頼者の3者契約)。

IRBの審査依頼は、それぞれ医病院長、センター長より発生し、CRFの作成(両施設毎に各1冊、計2冊)、記録の保存(医病院、センターにてそれぞれ)等の対応を考えておりますが、GCP上問題となる点はないのでしょうか?

また、必要と考えられる手続き及び文書等がありましたら併せてご助言をお願いいたします。

なお、医病院では、日常診療においても検査等については、センターで実施しております。

また、IRBは大学設置のIRBにて全附属病院からの審査依頼を受けて審査をしています。




●●● 製薬協見解 ●●●

可能であれば、1施設内で治験を行うことが望ましいと考えます。

やむを得ず、2施設を使用する場合、1施設で実施する治験と手順等が種々の点で異なると思われますので、これらの点を十分検討し、明らかにして適切に対応されている限り、GCP上可能と考えます。

以下に検討が必要と考えられる主な点をお示しします。

・説明文書内容

・同意取得方法

・症例報告書の作成手順

・治験薬の管理

・センターから医病院に被験者が移動したときのセンターにおける被験者の扱い

・治験に関する情報の医療機関内での伝達先

・治験依頼者への通知方法

・モニタリング・監査の受入れ手順

・各施設に対する終了報告の内容、提出先

・将来的な規制当局調査受け入れ時の対応

・治験関連記録・資料の保存

その他にも実施に際して考慮すべき事項が発生する可能性があると思われますので、貴院の手順書及び治験実施計画書に沿った治験実施について予め治験依頼者と十分ご検討いただくことが良いと考えます。

また、今後、このような2施設での治験の実施が将来も考えられる場合は、手順を作成しておくことが望ましいと考えます。


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2014年05月18日

契約期間終了後の有害事象の追跡調査に対する契約の必要性

質問番号:(6) 契約期間終了後の有害事象の追跡調査に対する契約の必要性

契約(研究)期間終了後の追跡調査に関し、新たな(あるいは継続)契約が必要か否かについて 本年3月31日に終了した(=契約書の研究期間)治験について、3月末の最終検査で有害事象(検査値の異常変動)が発現したため、治験実施計画書に従い追跡調査を実施していただいた。

これについて、治験事務局は契約が必要か否か判断できないため、治験依頼者が不要と考えるのであればその根拠(見解)を示せとのことであった。

そこで、会社法務部門の了解を得て提出しようとしたところ、治験依頼者の私的見解ではなく、当局あるいは製薬協などがどのように考えているか確認し、示して欲しいとのことであった。

治験事務局に他に事例(経験)はないかお伺いしましたが、他は、追跡調査を網羅する契約を予め締結しており(?)、本件のような事例は初めてとのこと。

なお、現時点で既に追跡調査は実施済みであり、回答は早急(5月末位)に必要なため、契約を不要とする根拠を探すよりも、追跡調査のために新たな契約を締結した方が話しは早いと考え、4月1日以降の追跡調査実施の正当性を確保(網羅)する契約を現時点で締結する方向で考えております。




<< 製薬協の見解 >>

治験契約書で取決められる「治験の期間」は、通常、当該実施医療機関において、治験実施計画書で規定される治験薬の投与又は検査・観察が全て終了されるまでの期間をさして扱われていますが、もちろん法的な裏付けがあるわけでありません。

このため、まずは、契約の当事者間において「治験の期間」の認識を共通のものにするため、あらかじめ、両者で十分に話し合っておく必要があります。

さて、有害事象発現症例に対する追跡調査については、GCPの規定に沿って、

(1) その必要性が治験実施計画書で規定されている

(2) 原契約において「治験実施計画書を遵守した治験の実施の必要性(GCP第13条1項13号)」と「被験者に対する健康被害補償の取り扱い(GCP同条同項第16号)」が規定されているといった措置がとられているはずです。

すなわち、たとえ、有害事象発現症例に対する追跡調査の実施時期が「治験の期間」の枠外となったとしても、その実施が契約上担保されているといえますので、特段の不都合が生じるとは考えられません。

従って、治験契約を更新等の手続きは、一般的には、必ずしも必要ないと考えられます。

なお、同様のことは、「記録の保存(GCP同条同項9号)」、「被験者の秘密の保全(GCP同条同項11号)」、「治験依頼者の求めに応じた実施医療機関の原資料等の閲覧への協力(GCP同条同項14号)」等の契約事項についてもいえます。



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2014年05月17日

「公正な立会人」の条件

質問番号:2004-13 「公正な立会人」の条件

視力障害のある被験者への同意説明について教えてください。

答申GCPでは「公正な立会人」を立てると記載がありますが、 1.「公正な立会人」の条件をお教えください。

2.代諾者を立てない場合、「公正な立会人」となりうるのでしょうか



●●● 製薬協見解 ●●●

ご質問について、視力障害により説明文書が読めない方ということで、見解を述べさせていただきます。

1.「公正な立会人」の条件について

「公正な立会人」は治験から独立しており、治験に関与している人から不当な影響を受けない人(GCP第2条ガイダンス15(5))とされています。

またICH GCP 1.26では同意取得の場に立ち会って説明文書を読み聞かせる人となっていますので、治験の実施と関係せず、第三者的な立場を取れる人であれば治験責任医師と同じ医療機関の職員であってもよいと考えます。

現状では、被験者となりうる方が信頼をおける方(家族、友人、ソーシャルワーカー等)が望ましいと考えます。



2.代諾者を立てない場合の「公正な立会人」について

代諾者は被験者となりうる方に同意能力がない場合にその方に代わって同意をする人であり、その方に同意能力があれば、代諾者ではなく、立会人を立てることになります。

ただし、同意能力の欠如により代諾者をおいたとしてもその代諾者が何らかの理由により説明文書を読めない場合は、更に立会人を立てることになります(GCP第52条第3項ガイダンス1)。



■■■■■ 関連するGCP等の条文 ■■■■■


第2条 (定義)

ガイダンス

(5)「公正な立会人」とは、治験の実施から独立し、治験に関与する者から不当に影響を受けない者で、被験者又は代諾者が同意文書等を読むことができない場合にインフォームド・コンセントの過程に立ち会う者である(第52条参照)。




第52条 (同意文書等への署名等)

第50条第1項又は第2項に規定する同意は、被験者となるべき者が説明文書の内容を十分に理解した上で、当該内容の治験に参加することに同意する旨を記載した文書(以下「同意文書」という。)に、説明を行った治験責任医師等及び被験者となるべき者(第3項に規定する立会人が立ち会う場合にあっては、被験者となるべき者及び立会人。次条において同じ。)が日付を記載して、これに記名押印し、又は署名しなければ、効力を生じない。

ガイダンス

2 第3項の規定により、被験者となるべき者又はその代諾者となるべき者が説明文書を読むことができないが、口頭又は他の伝達方法ではその内容を理解することができる場合には、説明に際して公正な立会人を要する。この場合には、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者に加え、立会人も同意文書に記名押印又は署名し、自ら日付を記入すること。


以上

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2014年05月16日

治験依頼者による被験者との直接面談の是非

質問番号:2004-12 治験依頼者による被験者との直接面談の是非


GCP等に関連してご質問がございます。

治験依頼者と被験者とは直接面談できない事になっていると思いますが、法令では具体的にどこで規制されているのでしょうか。




●●● 製薬協見解 ●●●



GCP省令、その他の関連規定では、治験依頼者が被験者に直接面談することを明確に禁じている条項はありませんが、直接面談(医療機関内外で)は以下のことなどから、適切ではないと考えます:

1. ご存知のように、治験のシステムは治験依頼者が実施医療機関に治験の実施を依頼し、治験責任医師が治験実施計画書に従って被験者に必要な投薬、検査を行うことになっています。

被験者から治験に関して質問等がある場合は実施医療機関において対応していただくことになります。



2. 薬事法第80条の2第10項を始め、GCP第13条及び第51条等、被験者のプライバシー保護について様々な規制が設けられており、罰則(薬事法第86条の3第1項第5号)もあります。

治験依頼者による診療録の直接閲覧に関しましても、これらの規制を遵守して対応されています。

治験依頼者と被験者の直接面談は、被験者のプライバシーに関し直接閲覧よりも踏み込んだ状況と思われますので、通常はできないものと考えられます。




3. 治験中に治験依頼者が被験者に直接面談すると場合によっては、被験者の心理状態等に影響して、被験薬の正しい評価が損なわれる可能性があります。

なお、健康被害の補償の場合、まず、被験者と実施医療機関の間で協議していただき、その上で実施医療機関と治験依頼者で協議することが通常と考えられます。

被験者が特に治験依頼者との面談を希望される場合は、その理由を確認し、その上で最良の方策を決める必要があると考えます。




■■■■■ 関連するGCP等の条文 ■■■■■


●●●薬事法(昭和三十五年八月十日法律第百四十五号) 「第八十条の二第一項」


(治験の取扱い)

第八十条の二  治験の依頼をしようとする者は、治験を依頼するに当たつては、厚生労働省令で定める基準に従つてこれを行わなければならない。



2  治験(厚生労働省令で定める薬物又は機械器具等を対象とするものに限る。以下この項において同じ。)の依頼をしようとする者又は自ら治験を実施しようとする者は、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に治験の計画を届け出なければならない。

ただし、当該治験の対象とされる薬物又は機械器具等を使用することが緊急やむを得ない場合として厚生労働省令で定める場合には、当該治験を開始した日から三十日以内に、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に治験の計画を届け出たときは、この限りでない。



3  前項本文の規定による届出をした者(当該届出に係る治験の対象とされる薬物又は機械器具等につき初めて同項の規定による届出をした者に限る。)は、当該届出をした日から起算して三十日を経過した後でなければ、治験を依頼し、又は自ら治験を実施してはならない。

この場合において、厚生労働大臣は、当該届出に係る治験の計画に関し保健衛生上の危害の発生を防止するため必要な調査を行うものとする。



4  治験の依頼を受けた者又は自ら治験を実施しようとする者は、厚生労働省令で定める基準に従つて、治験をしなければならない。



5  治験の依頼をした者は、厚生労働省令で定める基準に従つて、治験を管理しなければならない。



6  治験の依頼をした者又は自ら治験を実施した者は、当該治験の対象とされる薬物又は機械器具等について、当該薬物又は機械器具等の副作用によるものと疑われる疾病、障害又は死亡の発生、当該薬物又は機械器具等の使用によるものと疑われる感染症の発生その他の治験の対象とされる薬物又は機械器具等の有効性及び安全性に関する事項で厚生労働省令で定めるものを知つたときは、その旨を厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣に報告しなければならない。

この場合において、厚生労働大臣は、当該報告に係る情報の整理又は当該報告に関する調査を行うものとする。



7  厚生労働大臣は、治験が第四項又は第五項の基準に適合するかどうかを調査するため必要があると認めるときは、治験の依頼をし、自ら治験を実施し、若しくは依頼を受けた者その他治験の対象とされる薬物又は機械器具等を業務上取り扱う者に対して、必要な報告をさせ、又は当該職員に、病院、診療所、飼育動物診療施設、工場、事務所その他治験の対象とされる薬物又は機械器具等を業務上取り扱う場所に立ち入り、その構造設備若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは従業員その他の関係者に質問させることができる。



8  前項の規定による立入検査及び質問については、第六十九条第六項の規定を、前項の規定による権限については、同条第七項の規定を準用する。



9  厚生労働大臣は、治験の対象とされる薬物又は機械器具等の使用による保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、治験の依頼をしようとし、若しくは依頼をした者、自ら治験を実施しようとし、若しくは実施した者又は治験の依頼を受けた者に対し、治験の依頼の取消し又はその変更、治験の中止又はその変更その他必要な指示を行うことができる。



10  治験の依頼をした者若しくは自ら治験を実施した者又はその役員若しくは職員は、正当な理由なく、治験に関しその職務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。これらの者であつた者についても、同様とする。







●●●GCP 第13条 「治験の契約」

11)被験者の秘密の保全に関する事項



●●●GCP 第51条 「説明文書」

10)被験者の秘密が保全されることを条件に、モニター、監査担当者及び治験審査委員会等が原資料を閲覧できる旨

11)被験者に係る秘密が保全される旨



以上


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2014年05月11日

治験薬安全性情報の提供の開始日

質問番号:2013-59 治験薬安全性情報の提供の開始日

治験依頼者による治験責任医師への安全性情報の報告は、下記の何れの日から発生するのでしょうか?

ある治験依頼者からは、治験責任医師と治験依頼者との治験実施計画書の合意日から発生すると言われました。

1. 治験の合意日

2. 治験の依頼日

3. 治験の契約日




<< 製薬協の見解 >>

安全性情報を提供する目的は、契約締結前後で少々異なります。

契約締結前に安全性情報を提供する目的は、治験責任医師となるべき者へ治験実施計画書の合意に必要な情報を提供することと、被験者への説明文書の作成に必要な情報を提供することにあります(GCPガイダンス第7条第4項/第5項1、第9条1)

ただし、契約締結前の安全性情報の提供時期まではGCPで規定していませんので、起点が合意日、依頼日のいずれでも、提供の目的が達成されるのであれば問題ではありません。

治験依頼者によって提供時期に多少の差異があるかと思いますので、個別に確認されることをお勧めします。



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2014年05月08日

治験協力者として指名された医師の業務範囲?

質問番号:2004-11 治験協力者として指名された医師の業務範囲

当院で実施中の治験の分担医師が異動になり、代わりに着任された医師が当院における標準業務手順書上の分担医師の条件を満たしていなかった(臨床経験の年数不足)ため、IRBで分担医師の変更申請を認めてもらえませんでした。

そこで、治験協力者として参加させるという案が浮上したのですが、治験協力者が医師の場合、治験関連業務として実施可能な業務はどのようになっているのでしょうか?

具体的には、治験薬の処方、検査オーダー、症例報告書の作成等が可能かどうかを教えていただければと思います。

大学病院では、研修医等が治験協力者として関わっていることがあるそうですが、どの程度までの業務を行っておられるのでしょうか?



●●● 製薬協見解 ●●●

「「治験協力者」とは、実施医療機関において、治験責任医師又は治験分担医師(以下「治験責任医師等」)の指導の下にこれらの者の治験に係る業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者をいう。」(GCP第2条14項)と規定されており、治験協力者が医師であっても、業務はいわゆる補助業務(同意取得の補助、モニタリング・監査への協力等)に限定されると考えます。

従って、医薬品を処方する場合は患者を自ら診察する必要があります(医師法第20条)が、被験者の診察を行うのは治験責任医師等ですので、治験薬の処方はできないと考えます。

検査のオーダーも同様と考えます。

症例報告書の作成について、治験協力者は補助(診療録からの単なる転記等)はできますが、治験責任医師等が行う医学的判断が必要な項目については、記載できないと考えます。

大学病院であっても、治験協力者としての業務内容・範囲には違いはないと考えます。





■■■■■ 関連するGCP条文 ■■■■■

(定義)

第2条

14 この省令において「治験協力者」とは、実施医療機関において、治験責任医師又は治験分担医師の指導の下にこれらの者の治験に係る業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者をいう。



医師法第20条
 ↓
http://www.houko.com/00/01/S23/201.HTM

第20条 医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。

但し、診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。


以上

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2014年05月04日

代諾者の範囲

質問番号:(4) 代諾者の範囲

治験における「代諾者」について教えてください。

1) GCPでは「この省令において「代諾者」とは、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これに準じる者をいう。」とされています。

ここにあげている「その他これに準じる者」とは、どのような立場の人を指しているのですか?

2) 傷病により意識がないか、意識障害のある場合において、代諾者に親族は含まれますか?

3) 含まれている場合、配偶者や親などの高位のものが優先されるべきかと思いますが、厳密に高位の方の意思を確認する必要はありますか?

4) 医師の説明を聞いた親族で良いですか?

5) 内縁関係にあるものは、代諾者に含まれるのですか?

6) 精神障害者の保護者は、配偶者、親権者、扶養義務者もしくは市長村長となっているようですが、この保護者にあたるかたすべてが代諾者になることはできますか?

親権者、後見人、親族、姻族の解釈は以下の通りと思っています。

親権者:親権を行う者 父母の婚姻中は父母が共に親権者となるが、父母が離婚したときはその一方のみが親権者となる。

後見人:(法)禁治産者又は親権者を欠く未成年者のために財産管理や身上監護の任に当たるべき者。法定代理人でもある。

親 族:民法上、六親等内の血族、配偶者及び三親等内の姻族をいう。

姻 族:婚姻によりできた親戚。配偶者の血族。すなわち夫からみて妻の父母兄弟の類。



<< 製薬協の見解 >>

1) GCP第2条ガイダンス11によれば、「被験者とともに、又は被験者に代わって同意をすることが正当なものと認められる者であり、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これらにに準じる者で、両者の生活の実質や精神的共同関係から見て、被験者の最善の利益を図りうる者」とみなすことができれば、すべて代諾者といえます。

なお、緊急時では、付き添いの友人ではどうかとの議論もあります。しかし、この場合は、GCP第55条(緊急状況下における救命的治験)で対応すべきで、代諾者としない方が妥当と思われます。


2) 親族といえども、1)の条件を満たさなければ、代諾者となりえません。

3) 一般的には、被験者との関係が近い方の(高位の)立場にある代諾者の意思を優先すべきです。

しかし、そのことについては、GCPで規定されていませんので、あまり固守する必要はないと考えています。

この場合も、やはり、1)の条件を満たしているか否かを判断の基準にすべきと思われます。

なお、複数の代諾者(の資格者)がいて、相反する考えを示したような場合、(1)被験者との関係がより近い方の(高位の)代諾者の考えを採用する、(2)同意が得られなかったとみなす、(3)第三者の意見を参考に判断する、等の対応が考えられますので、あらかじめ、その妥当性について治験審査委員会の意見を聴いておくと、その時になって慌てることなく適格な対応がとれると思われます。

4) 説明を聞いた親族であれば誰でもよいというわけではありません。やはり、1)の条件を満たしているか否かを判断の基準にすべきと思われます。

逆にいえば、1)の条件を満たしていることを確認したうえで説明することが肝要といえます。

5) 内縁関係であっても、1)の条件を満たしているのであれば、代諾者となりうると考えられます。



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