2014年04月30日

診療録の外部保管は可能?

質問番号:2004-10 診療録の外部保管

GCP上ではカルテ等の記録についての記載がありますが、保管場所の記載がありません。

カルテは院内で保管しておかなければならないのでしょうか。

施設外のしかるべき場所で適切に保管し、必要時には電送等で対応することはGCP上問題ないでしょうか。




●●● 製薬協見解 ●●●

カルテの保管場所につきましては、「診療録等の保存を行う場所について」(平成14年3月29日付、医政発第0329003号・保発第0329001号厚生労働省医政局長、保険局長通知)におきまして、作成した病院又は診療所以外の場所における保存が可能であること及びその際に遵守すべき基準が示されています。
  ↓
http://www.medis.or.jp/2_kaihatu/denshi/file/140405-a.pdf



また、調査した範囲では本通知以外に:

・「診療録等の保存を行う場所について」の一部改正について(平成25年3月25日付、医政発0325第15号・医薬発0325第9号・保発0325第5号 厚生労働省医政局長、厚生労働省医薬食品局長、厚生労働省保険局長通知)
  ↓
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/dl/01-08.pdf



・診療録等の外部保存に関する通知として・診療録等の外部保存に関するガイドラインについて(平成14年5月31日付、医政発第0531005号)
  ↓
http://www.higashiyama.kyoto.med.or.jp/images/140613-b.pdf


・民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律等の施行等について(平成17年3月31日付、医政発第0331009号・薬食発第0331020号・保発第0331005号 厚生労働省医政局長、厚生労働省医薬食品局長、厚生労働省保険局長通知)及び当該通知が参照する「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の改訂版
  ↓
http://www.medis.or.jp/2_kaihatu/denshi/file/170331-a.pdf


・記録、帳簿の電子媒体による保存について(平成14年8月13日、医薬発第0813001号厚生労働省医薬局長通知)
  ↓
http://jsrttb.met.nagoya-u.ac.jp/newweb/topics/densibaitai.htm

などがありました。以上より、これらの通知・基準を満たす場合には、診療録等の外部保存は可能です。



一方、ご質問の通りGCP上、カルテの保管場所についての記載はありませんが、治験に係る文書又は記録の保管につきましては、実施医療機関の長が記録保存責任者を置くこと(GCP第41条第1項)、「〜紛失又は廃棄されることがないように、また、求めに応じて提示できるような措置を講じなければならない。」(GCP第41条第2項ガイダンス2)と定めております。

したがいまして、記録保存責任者の下、治験依頼者が行うモニタリング及び監査並びに治験審査委員会及び規制当局による調査を受け入れ、原資料(カルテ等原本)等を直接閲覧に供することが規定されていますので、これに対応できる保管体制が必要と考えます。

特に紙原本のカルテの場合には、治験終了後しばらくは院内にて保管する必要があると考えます。

また、紙原本のカルテを治験終了後に外部保管する場合には、時期、保管期間、保管責任者、保管方法、保管場所等を手順書に明記して、適切に運用することが必要と考えます。(特に保管期間につきましては、治験の場合、GCP第41条第2項に規定される期間が医師法第24条第1項の規定より長い場合はGCPに従うことになりますので注意が必要です)

なお、モニタリング、監査、当局等による調査では上記のように原本を示す必要があり、調査時には原本を取り寄せておかなければならず、写しでは代用できません。

医療機関内で手順を規定し、定められた手順に従って記録・保管されて真正性・見読性・保存性を保証出来る状態にあれば、紙原本から電子原本に変更することは可能と考えられます。



■■■■■ 関連するGCP条文 ■■■■■


(記録の保存)

第41条

実施医療機関の長は、記録保存責任者を置かなければならない。

2 前項の記録保存責任者は、次に掲げる治験に関する記録(文書を含む。)を被験薬に係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日(第24条第3項又は第26条の10第3項の規定により通知を受けたときは、通知を受けた日後3年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間保存しなければならない。

1)原資料

2)契約書又は承認書、同意文書及び説明文書その他この省令の規定により実施医療機関に従事する者が作成した文書又はその写し

3)治験実施計画書、第32条第1項から第3項までの規定により治験審査委員会等から入手した文書その他この省令の規定により入手した文書

4)治験薬の管理その他の治験に係る業務の記録


【ガイダンス】

2 実施医療機関の長又は記録保存責任者は、これらの記録がこの保存義務期間中に紛失又は廃棄されることがないように、また求めに応じて提示できるように必要な措置を講じておくこと。


以上

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2014年04月27日

IRBで審議する際の「軽微な変更」の範囲

質問番号:2004-09 IRBで審議する際の「軽微な変更」の範囲

今回迅速審査についてお訊ねいたします。

当院の手順書には以下の様に記されています。

治験審査委員会は、承認済の治験について、治験期間内の軽微な変更の場合には、迅速審査を行なうことが出来る。

迅速審査の対象か否かの判断及び審査方法は治験審査委員会委員長が行う。

なお、軽微な変更とは、変更により生ずる危険性が、被験者の日常生活における危険性又は通常行われる理学的あるいは心理学的検査における危険性より高くない変更をいい、何らかの身体侵襲を伴う検査を伴う変更は除く。とされています。


今回受託中の治験に関し、症例数の追加を考えております。

このような場合は軽微な変更に入るのでしょうか。

現時点で契約症例数を超える患者様への同意取得は可能でしょうか(4症例契約し、3症例実施、1症例は同意を取得していますが、治験薬開始は至っておりません)

さらに軽微な変更とは、どのような場合を示すのでしょうか。





●●● 製薬協見解 ●●●

GCP第28条第2項ガイダンス2(3)Cにおいて、治験審査委員会により既に承認された進行中の治験に関わる軽微な変更については、迅速審査で審査を行うことができる旨が記載されています。

さらに、「進行中の治験に関わる軽微な変更」として、「治験の実施に影響を与えない範囲で、被験者に対する精神的及び身体的侵襲の可能性が無く、被験者への危険を増大させない変更をいう。」と記載されています。

「症例数の追加」については、当該治験全体における予定症例数の追加でない限りは、基本的に治験審査委員会での審査は必要ありません。



■■■■■ 関連するGCP条文 ■■■■■

(治験審査委員会の構成等)

第28条

治験審査委員会は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。


【ガイダンス】

C 治験審査委員会により既に承認された進行中の治験に関わる軽微な変更に関して、迅速審査と承認を行う場合の条件(迅速審査の適用範囲、判断する者、審査方法、次回に開催される治験審査委員会への報告等)を定めること。

なお、この場合の「進行中の治験に関わる軽微な変更」とは、治験の実施に影響を与えない範囲で、被験者に対する精神的及び身体的侵襲の可能性がなく、被験者への危険を増大させない変更をいう。



以上


posted by ホーライ at 21:05| Comment(0) | TrackBack(0) | IRB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

症例報告書への同意取得日の記載方法

質問番号:(3) 症例報告書への同意取得日の記載方法

外来治験において、同意書の患者署名日と同意書を担当医師が受け取り確認する日が異なることは通常起こっていることです。

登録書やCRFに「文書同意取得日」、「本人文書同意取得日」等を記載するとき、署名日を記載するのか、同意書を受け取り同意確認が成立した日を記載するのか悩むことがあります。

どちらを記載するべきなのでしょうか?



<< 製薬協の見解 >>

「文書同意取得日」とか「本人文書同意取得日」といった用語は、GCP上定義されていないこともあり、確かに「被験者が同意書に署名した日」とも「治験責任医師等が同意文書を受け取りその内容確認した日」とも受け取ることができます。

特に、被験者(の候補者)には可能な限り十分な時間を与え治験への参加同意を求めることが強調されている昨今、お問合せのような状況が頻発すると想定されるため、治験依頼者と治験責任医師等との間に認識の食い違いをなくしておくことが急務と考えます。


治験依頼者すべてが同じ考えで「文書同意取得日」等の用語を使用しているわけでない現状においては、個々の治験の開始に先立って、これらの用語について、当該治験依頼者と協議の上お進めいただくこと以外によい対応策が見つかりません。


なお、「文書同意取得日」等の用語を使用しないのであれば、GCP第52条1項において、「同意は、…治験に参加することに同意する旨を記載した文書(同意文書)に、説明を行った治験責任医師等及び被験者となるべき者が日付を記載して、これに記名なつ印し、又は署名しなければ、効力を生じない。」と規定されていることから、例えば、治験責任医師に同意文書の記載欄を「説明年月日、説明者署名、同意年月日、同意者」としていただいた上で、これらの記載と整合するような表示の欄を登録書(票)や症例報告書に設けることも一方法と考えます。


★その他の「治験119番」はこちら。
    ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/tiken119/
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2014年04月24日

治験実施医療機関 診療科の名称変更に伴う手続き

質問番号:2011-12 治験実施医療機関 診療科の名称変更に伴う手続き

治験実施診療科名が循環器科から循環器内科に変更になりました。

内容が軽微であるため、治験事務局の見解としては、読み替えレター対応で可能と考えておりますが、各治験依頼者で見解に相違があるため、苦慮しております。


適切な対応についてご教示いただけませんでしょうか。


ちなみに現在実施中の治験依頼者へ確認したところ、1社は、契約書を含めすべて(治験分担医師・協力者リスト、履歴書、同意説明文書等)読み替えレターで対応可能との返事でしたが、1社は、変更申請書(書式10)の提出及び契約書の変更、履歴書の最新版が必要との見解でした。





<< 製薬協の見解 >>

GCP第28条第2項運用通知2(7)Aでは、診療科名の変更につきましては、事務的事項に関する変更として取り扱われています。

このような事務的事項の変更の取扱いにつきましては、貴院の業務手順書に従って対応いただくことになります。

なお、診療科名の変更につきましては、実施医療機関内で周知されている内容と考えられますので、ご質問のような読み替えレター等による対応で問題ないものと考えます(過去の見解2007-33、2008-36もご参照下さい)


また、新たに被験者に治験への参加について説明される場合には、連絡先としまして最新の診療科名が記載された説明文書を用いて説明することが望ましいと考えますが、本説明文書の変更は被験者の意思に影響を与える内容ではありませんので,治験審査委員会での審査は不要と考えます。




●その他の「治験119」はこちら
  ↓
http://192.168.4.7/Clinical/Education/chiken_119/120317.pdf



posted by ホーライ at 22:49| Comment(0) | TrackBack(0) | GCP全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

治験依頼者側の契約当事者及び契約書における健康被害補償の条文

質問番号:2004-07 治験依頼者側の契約当事者及び契約書における健康被害補償の条文

当院に申請される開発治験に関して依頼者から以下の質問を受けました。

@ 契約者名を「代表取締役 社長」ではなく「常務執行役員 新薬開発本部長」とすることは可能でしょうか。

A「契約書:被験者の健康被害の補償」 について、下記のとおり条文を変更することは可能でしょうか。

「【施設様式】重大な過失により生じた場合 → 【治験依頼者様式】甲の責に帰す場合」

ただし、治験依頼者の考えとして、重大な過失を下記の定義であることを確認できれば問題はないと考えます。

重大な過失の定義

医療機関側の過失で、1.死に至る健康被害の結果となったもの2.生命を脅かす、又は死亡につながるおそれのある健康被害の結果となったもの3.後遺障害に至る健康被害の結果となったもの

契約書の文言を、「重大な過失により生じた場合」 → 「甲の責に帰す場合」と変更することに何か問題はあるでしょうか。





●●● 製薬協見解 ●●●

ご質問@について

治験の契約は医療機関と治験依頼者とのいわゆる法人の間の契約ですので、社内の取り決めで契約の締結の権限が与えられている人であれば、法人の長でなくても契約者になることは可能です。


ご質問Aについて

治験依頼者の様式にすることは問題ないと考えられます。

ただし、後段に示されています「重大な過失」の定義としてお考えの内容は、有害事象の程度(重篤度)に関するものであり、「過失」の重大さには関連しておらず(重篤な副作用は過失の有無に関連なく発生します)、「重大な過失」の定義としては不適切と考えます。

「重大な過失」もしくは「過失」の定義に関しては法律的な解釈が必要であり、統一された基準も現在のところありませんので、申し訳ありませんが製薬協治験119としてお答え致しかねます。




■■■■■ 関連するGCP条文 ■■■■■

第13条 (治験の契約)

治験の依頼をしようとする者及び実施医療機関(前条の規定により業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、治験の依頼をしようとする者、受託者及び実施医療機関)は、次に掲げる事項について記載した文書により治験の契約を締結しなければならない。

1)契約を締結した年月日

2)治験の依頼をしようとする者の氏名及び住所

3)前条の規定により業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、受託者の氏名、住所及び当該委託した業務の範囲

4)実施医療機関の名称及び所在地

5)契約担当者の氏名及び職名

6)治験責任医師の氏名

7)治験の期間

8)治験薬の管理に関する事項

9)記録(データを含む。)の保存に関する事項

10)この省令の規定により治験依頼者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項

11)被験者の秘密の保全に関する事項

12)治験の費用に関する事項

13)実施医療機関が治験実施計画書を遵守して治験を行う旨

14)実施医療機関が治験依頼者の求めに応じて第41条第2項各号に掲げる記録(文書を含む。)を閲覧に供する旨

15)実施医療機関がこの省令、治験実施計画書又は当該契約に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、治験依頼者が治験の契約を解除できる旨

16)被験者の健康被害の補償に関する事項

17)その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項


以上

posted by ホーライ at 04:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験の契約 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月22日

治験中に被験者が受診した他の医療機関からの診療情報収集

質問番号:2004-06 治験中に被験者が受診した他の医療機関からの診療情報収集


当院で治験実施中の患者さまが他の医療機関を受診された場合,その医療機関における必要な患者情報を入手するために,主治医に書面やお電話で情報提供をご依頼したのにもかかわらず,思うように結果が得られないことがあります。

何度か情報収集に努めたにもかかわらず,十分な情報が提供されなかった場合,その時点で得られた情報のみを報告すればよいのでしょうか。

また,他の医療機関に対して,臨床試験における情報収集の目的で,カルテの開示を求めることは可能でしょうか。

そのような場合には,法律を守るためにどのような手続きをとればよいのでしょうか。

臨床試験における,カルテ開示に関する法的手続きなどを含めてお教えいただきたく,よろしくお願い申し上げます。




●●● 製薬協見解 ●●●

医療機関の間での診療情報提供について、現在調査した範囲では、医療法第1条の4第3項、保険医療機関及び保険医療養担当規則第16条の2、及び「診療情報等の提供に関する指針」(平成22年9月17日改正厚生労働省医政局医事課)の10にありますが、いずれも提供する情報の範囲については明記してありません。

診療録の第三者への開示については、秘密の漏洩に関する規定(医療法第72条)以外は、手続きに関する法的規制は調査した範囲ではありませんでした。


治験の安全性、有効性を確認(特に、被験者の安全性を確保)する上で、治験中の他の医療機関による診療情報は重要です。



他の医療機関に診療情報の提供を依頼する手順として以下のことが考えられます。

まず、被験者の方から文書で同意を得た上で、その同意文書を添付して治験責任医師が文書で依頼します。

依頼をされる際に、治験に参加していただいている被験者の安全性確保に他の医療機関の診療情報が重要であること、必要とされる情報の範囲を明確にすると他の医療機関も診療情報の提供について理解し、提供していただきやすいと考えます。



提供された情報及び被験者の方から得た情報(他の医療機関で薬剤が処方されている場合は、その薬を持参してもらい内容を確認します)の範囲で症例報告書に記載することになります。

尚、想定はできませんがご質問にあります、他の医療機関の診療録の内容を確認する必要性が生じた場合、他の医療機関の診療録の内容を確認することが必要と判断された場合は、被験者の方の同意を文書で得た上で、治験責任医師が上記と同様にして依頼することになります。

ただし、診療録の第三者への開示については、法的に定められた手続きは調査した範囲では見当たりませんので、相手の医療機関とご相談の上、その院内手続きを尊重して行うことになると考えます。

また、診療録の開示は通常患者本人又は患者が死亡の場合は遺族にのみ認められていること、及び個人情報の保護に十分留意されることが必要と考えます。

いずれにしても、診療録に適宜これらを記録し、また、診療情報の提供の依頼及び情報の受領は文書で行い、原資料の一部として保管するようお願いします。


【見解改訂理由】

「診療情報等の提供に関する指針」(平成22年9月17日改正厚生労働省医政局医事課)の発出に伴い、参照を変更しました。


■■■■■ 関連するGCP条文 ■■■■■

(被験者に対する責務)

第45条

治験責任医師等は、治験薬の適正な使用方法を被験者に説明し、かつ、必要に応じ、被験者が治験薬を適正に使用しているかどうかを確認しなければならない。

2 治験責任医師等は、被験者が他の医師により治療を受けている場合には、被験者の同意の下に、被験者が治験に参加する旨を当該他の医師に通知しなければならない。


<ガイダンス>

2 治験責任医師等は、被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の治験への参加について知らせること。


以上

posted by ホーライ at 22:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 被験者の安全確保 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月21日

医療機関の長の交代に伴う契約の変更(その2)

質問番号:2004-05 医療機関の長の交代に伴う契約の変更(その2)

最近院長が代わりました。

それで変更契約書ですが、様式の始めの部分にある、「○○病院 院長 (以下「甲」という。)と (以下「乙」という。)との間において、平成年 月 日付けで締結した」では、一番始めの契約当時の院長名を記入するのでしょうか?

依頼者によると、一番新しい最近の契約のものを記載してくださいというところもあります。




●●● 製薬協見解 ●●●

その様式を使用するとすれば、最初の部分においては参照している契約締結日当時の契約者名を記載するのが妥当と考えられます。

ただし、GCP第13条では、「実施医療機関」と治験の契約を締結することになっており、実施医療機関の契約者個人とではないと考えられます。

従って、同条1項5号に契約書の記載事項として契約担当者がありますが、この契約担当者(ご質問の場合、実施医療機関の長)が変更になってもその契約はそのままで有効であり、治験契約の変更は必要ないと考えられます。

また、上記のことから,変更契約書の最初の部分では,甲として医療機関名のみの記載にされることをお勧めします。

他に同様の様式がありましたら、甲の記載についてご検討されることをお勧めします。



■■■■■ 関連するGCP条文 ■■■■■

(治験の契約)

第13条 治験の依頼をしようとする者及び実施医療機関(前条の規定により業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、治験の依頼をしようとする者、受託者及び実施医療機関)は、次に掲げる事項について記載した文書により治験の契約を締結しなければならない。

1)契約を締結した年月日

2)治験の依頼をしようとする者の氏名及び住所

3)前条の規定により業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、受託者の氏名、住所及び当該委託した業務の範囲

4)実施医療機関の名称及び所在地

5)契約担当者の氏名及び職名

(以下、略)


以上

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2014年04月19日

治験受託前のカルテスクリーニング(その3)

質問番号:2013-57 治験受託前のカルテスクリーニング(その3)

契約前にスクリーニングリストを提出することは可能でしょうか?

すでに「2013-14 治験受託前のカルテスクリーニング(その2)」で、「当該医療機関が示す個人情報利用目的の範囲内」であれば、問題ないとのご見解をいただいております。

ただ、実際には契約前の治験の予備調査目的でカルテ閲覧を行うことを個人情報利用目的に明示してスクリーニングを実施している医療機関は少ないと思いますので、施設側では非常にグレーゾーンの運用になっているのが現実ではないかと感じています。





<< 製薬協の見解 >>

個人情報利用目的の範囲内か否かは、最終的には実施医療機関でご判断いただく必要があります。

2013-14にお示ししましたように、スクリーニングリストは匿名化して個人を特定できないようにして提供されるべきものです。

当該リストの提供が、貴院の個人情報の利用目的から外れると判断される場合は、調査の可否や内容、治験受諾可否も含めて、適切に対応していただくことが必要と考えます。


★その他の「治験119番」はこちら。
    ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/tiken119/

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2014年04月17日

医療機関の長の交代に伴う契約の変更(その1)

質問番号:2004-04 医療機関の長の交代に伴う契約の変更(その1)

当院では昨年9月に病院長が交代しました。

それ以前の治験の契約書等は旧病院長のままになっているため、治験継続中のものについては変更が必要と考え治験依頼者へ確認しました。

治験依頼者の回答は「特に変更の必要はない」とのことでした。

医療機関側の代表者の交代については覚書等の対応が必要では?と思うのですが、見解をご教示ください。

また、治験責任医師等の肩書きが変更になった場合はいかがでしょうか?




●●●製薬協見解●●●


ご質問の契約につきましては、GCP第13条にありますように、実施医療機関として貴病院と依頼会社という両法人間において締結されたものであり代表者が交代したことによって、その効力が失われるものではありません。

GCP第13条1項5号に「契約担当者の氏名及び職名」とありますが、これは契約締結時における必須記載項目であり、病院の契約担当者が契約を行なったことの証として記載いただくものです。

契約担当者の氏名あるいは職名が変わっても、契約の変更や覚書は必要ないと考えられます。

なお、治験責任医師等の職名の変更により覚書等の対応は不要ですが、治験計画変更届書により規制当局へ届け出る事項とされていますので、そのような変更が生じた場合は、速やかに治験依頼者にご連絡ください。


【見解改訂理由】

GCPガイダンス(平成24年12月28日薬食審査発1228第7号)発出に伴い、治験責任医師の職名は治験契約書の必須記載事項ではなくなりましたので、見解の記載を整備しました。




■■■■■ 関連するGCP条文 ■■■■■

(治験の契約)

第13条 治験の依頼をしようとする者及び実施医療機関(前条の規定により業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、治験の依頼をしようとする者、受託者及び実施医療機関)は、次に掲げる事項について記載した文書により治験の契約を締結しなければならない。

1)契約を締結した年月日

2)治験の依頼をしようとする者の氏名及び住所

3)前条の規定により業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、受託者の氏名、住所及び当該委託した業務の範囲

4)実施医療機関の名称及び所在地

5)契約担当者の氏名及び職名

6)治験責任医師の氏名

7)治験の期間

8)治験薬の管理に関する事項

9)記録(データを含む。)の保存に関する事項

10)この省令の規定により治験依頼者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項

11)被験者の秘密の保全に関する事項

12)治験の費用に関する事項

13)実施医療機関が治験実施計画書を遵守して治験を行う旨

14)実施医療機関が治験依頼者の求めに応じて第41条第2項各号に掲げる記録(文書を含む。)を閲覧に供する旨

15)実施医療機関がこの省令、治験実施計画書又は当該契約に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、治験依頼者が治験の契約を解除できる旨

16)被験者の健康被害の補償に関する事項

17)その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項




<第1項>

1 治験の契約は、実施医療機関の長が治験審査委員会の意見に基づいて治験の実施を了承した後に、治験の依頼をしようとする者と実施医療機関の間で文書により行うこと。

なお、実施医療機関の契約者については、実施医療機関の長又は実施医療機関の長が選任した者のいずれでも差し支えないが、その責任は実施医療機関の長が負うこと。

また、治験責任医師は契約書の内容を確認するが、必ずしも署名等は必要としない。

以上

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医科大学教職員の外部委員指名の妥当性

質問番号:2004-03 医科大学教職員の外部委員指名の妥当性

IRBのメンバーについての質問ですが、医科大学教養部の教授を、当院と利害関係のない外部委員としておりますが、GCP上問題はないでしょうか?

なお、IRBの設置者は、医科大学学長で、実際の運用は医学部病院長に委嘱されています。

本学のいくつかの附属病院のそれぞれの病院長からの審査依頼を受けて、IRBを開催しております。




●●●製薬協見解●●●

「大学医学部附属病院の場合は、他学部の教員は実施医療機関と業務上の関係がない場合は、利害関係がないと考えられる」とGCP第28条第1項ガイダンス5にあります。

しかし、医科大学のような場合、医学部とは別の学部の教授の場合でも教授会等で附属病院の運営等に間接的に関与する場合があり、附属病院との利害関係がないことを示すことは難しいのではと考えられます。

更に、学長がIRBの設置者になっており、運営を病院長が行っていますので、教授が他学部であっても利害関係がないことを示すことは困難と考えられます。

これらのことから、IRBを構成する要件の一つである「実施医療機関と利害関係を有しない委員」 の指名に際しては疑念を受けないことが肝要であり、できるだけ学外の方にお願いされるべきと考えますが、学内の方を委員に指名する場合は、実施医療機関との利害関係(例えば大学内の会議組織上、業務上)がないことを示す必要があると考えます。


■■■■■ 関連するGCP条文 ■■■■■

(治験審査委員会の構成等)

第28条 治験審査委員会は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。

1)治験について倫理的及び科学的観点から十分に審議を行うことができること。

2)5名以上の委員からなること。

3)委員のうち、医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者以外の者(次号及び第5号の規定により委員に加えられている者を除く。)が加えられていること。

4)委員のうち、実施医療機関と利害関係を有しない者が加えられていること。

5)委員のうち、治験審査委員会の設置者と利害関係を有しない者が加えられていること。



〈第1項〉

1 治験審査委員会は、治験について倫理的、科学的及び医学的・薬学的観点から審議及び評価するのに必要な資格及び経験を、委員会全体として保持できる適切な数の委員により構成するものとし、次に掲げる条件をすべて満たしていること。

(1)少なくとも5人の委員からなること。

(2)少なくとも委員の1人は、医学・歯学・薬学等の自然科学以外の領域に属していること。

(3)少なくとも委員((2)に定める委員を除く。)の1人は、実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設と関係を有していないこと。

(4)少なくとも委員((2)に定める委員を除く。)の1人は、治験審査委員会の設置者と関係を有していないこと。

2 治験審査委員会の委員は、実施医療機関の長又は第27条第1項の治験審査委員会の設置者が選任すること。

3 委員の数は、少なくとも5名と規定しているが、委員の数がこれよりも多い場合には、同項第3号、第4号又は第5号の委員の数を増やす等により、委員構成を適正な割合に保つことが必要である。

4 実施医療機関の長は、自らが設置する治験審査委員会に出席することはできるが、委員になること並びに審議及び採決に参加してはならない。

5 実施医療機関の職員等は、「実施医療機関と利害関係を有しない者」に該当しない。

ただし、例えば、実施医療機関が複数の学部を有する大学の医学部の附属病院である場合に、他学部(法学部等)の教員で実施医療機関と業務上の関係のない場合には、「実施医療機関と利害関係を有しない者」の対象と考えられる。

6 第4号及び第5号に該当する委員は、同一人物であることもあり得るが、別人であるか複数であることが望ましい。

7 治験審査委員会の設置者の役員、職員又は会員等は、「治験審査委員会の設置者と利害関係を有しない者」に該当しない。

8 治験審査委員会の各委員は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則、GCP省令、薬事法、その他治験に係る法令及び行政通知等の内容を理解していること。

9 治験審査委員会は、男女両性で構成されることが望ましい。

10 治験審査委員会は、委員以外の特別な分野の専門家に出席を求め、その協力を得ることができる。



以上


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2014年04月16日

GCP省令の引用方法

質問番号:2004-02 GCP省令の引用方法

依頼者は、『治験実施計画書』の記載項目の一つに、必ず、倫理として、「本治験はヘルシンキ宣言に基づき……“医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年3月27日厚生省令28号)”、を遵守し、本治験を実施する。」を記載されます。

ここで用いられる省令に関してですが、 上記「 」は勿論【新GCP】に対する内容で、平成15年7月30日からは【改正GCP】が施行されています。

【改正GCP】は【新GCP】を含み、医師主導の臨床試験などの規定が加わったものと理解していますので、上記「 」には、“医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令(平成15年厚生労働省令第106号)”が記載されるべきであると考えます。

平成15年8月以降に開始されるプロトコールに対する『治験実施計画書』の記載としては、

@【新GCP】に対する省令を記載(平成9年)

A【改正GCP】に対する省令を記載(平成15年)

B【新GCP】及び【改正GCP】の両方に対する省令を併記(平成9年及び平成15年)

上記の@〜Bのどれが正しいのでしょうか?





●●●製薬協見解●●●


法律・省令等で他の法律・省令等を引用する場合には、最初に制定されたときの法律・省令番号、制定日が記載されております。

実際にGCP省令では薬事法を引用していますが、最初の法律番号、制定日を記載しています。

よって、最初に制定された法律・省令番号、制定日を記載することで、それ以降行われた改正を含んでいると解釈できます。

このことより、治験実施計画書や契約書等でGCP省令を記載する場合は、省令の正式名称、最初の制定日、省令番号を記載し、略語を使用する場合は「以降GCPと略す」等と記載することでよいと考えられます(@でよいと考えられます)。

なお、平成15、16、18、20、24年に出された省令(第106号、第172号、第72号、第24号、第161号)は改正の部分のみを示していますので、単独でGCPとして契約書に記載することは適切でないと考えられます。

また、「新GCP」という呼称が薬発第430号(平成9年3月27日)で使用されていますが、医薬発第0612001号(平成15年6月12日)では単に「GCP」となっており、今後呼称としては「GCP」と記載するほうがよいと思われます。


以上

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2014年04月13日

治験実施計画書とモニターの指名記録

質問番号:(9) 治験実施計画書とモニターの指名記録

直接閲覧をともなうモニタリング担当者(モニター)の適格性について 治験実施計画書に記載のないモニターがモニタリングを実施して良いのでしょうか?

良いとしたら、治験実施計画書にモニターを記載する意義は何なのでしょうか?



●●●製薬協見解●●●

モニター(モニターが複数である場合にはその代表者)の氏名、職名及び電話番号等については、治験実施計画書の分冊として差し支えないとされ、また当該各実施医療機関に係るもののみの提出でよいこととなっています。

直接閲覧をともなうモニタリング時に、当該別冊に氏名等が記載されていない場合には、当該モニターの氏名等を実施医療機関が把握できるようにすることが必要となります。


【見解改訂理由】

「医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について」の改訂(平成23年10月24日)に伴い、治験実施計画書上でのモニターの氏名、職名及び電話番号等の表記方法の説明を変更しました。



■■■ 【関連するGCP条文】 ■■■

(モニタリングの実施)

第21条

治験依頼者は、モニタリングに関する手順書を作成し、当該手順書に従ってモニタリングを実施しなければならない。

2 前項の規定によりモニタリングを実施する場合には、実施医療機関において実地に行わなければならない。

ただし、他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合には、この限りではない。


【ガイダンス】

2 治験依頼者は、適切な訓練を受け、治験を十分にモニタリングするために必要な科学的及び臨床的知識を有するモニターを指名すること。

また、モニターの要件を、モニタリングに関する手順書に記載しておくこと。


以上

posted by ホーライ at 19:28| Comment(0) | TrackBack(0) | モニターに関すること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

契約例数を上回る症例の組入れ

質問番号:2013-56 契約例数を上回る症例の組入れ

現在実施中の治験で、治験契約書には「目標とする被験者数:4症例(二重盲検期移行例として)」と記載されています。

本治験では、前観察期が約3ヶ月間あり、3ステッフ゜の期間に分かれています。

そして、観察期の最後の6週間は治験薬(実薬)を投与します。

この場合、二重盲検期移行前に契約を追加するという条件であれば、組み入れ時の契約症例数を超えて組み入れをしても問題はないのでしょうか。





<< 製薬協の見解 >>

4例(契約症例数:二重盲検期移行例として)を超えて、被験者を観察期に組み入れることは問題ありません。

ただし、契約症例数を超えた被験者が、契約上の問題により二重盲検期に移行できなくなることは、被験者の不利益となりますので、そのようなことがないように、当該被験者の二重盲検期前に症例数の追加に関する変更契約を確実に行うことが必要です。


なお、平成24年12月28日のGCP改正により、「目標とする被験者数」は治験契約書上の必須記載事項ではなくなりました(第13条第1項の改正)。


これを受け、新たに締結する治験契約書における「目標とする被験者数」の記載の必要性、及び本改正以前に既に締結されている治験契約書における目標被験者数変更に関する対応は、実施医療機関と治験依頼者の協議の結果によります。


したがいまして、双方の間で何らかの取り決めがあれば、被験者数変更のために変更契約(覚書を含む)を取り交わすことは必ずしも必要ではありません。


貴院SOPにおきまして、目標被験者数の変更に関する覚書の締結を必須とされているようでしたら、関連箇所の改訂についてご検討されることをお勧めします。


★その他の「治験119番」はこちら。
    ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/tiken119/

ラベル:契約
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2014年04月12日

治験依頼者による安全性情報提供の終了時期(その1)

質問番号:(8) 治験依頼者による安全性情報提供の終了時期(その1)

当院では、受託研究の終了報告書が提出されるまでを、安全性情報の報告受理の期限としております。

実際には治験自体は終了しているにもかかわらず、終了報告書が未提出の場合には、安全性報告を事務局で受理し対応しています。

事務局の業務として、かなり時間をさいている状況なので、例えば、契約終了までとか、別の期間を設定できるのではないかとも、考えております。

受理の期限がいつまでなのか、明確に記載されているものを、見たことがないのですが、何か規定されているものはありますでしょうか?

新GCP上、いつまでが妥当なのか、見解を示していただけたらと存じます。




●製薬協見解

GCP第20条によると、治験依頼者は被験薬に関する副作用情報等(以下、「安全性情報」)を治験責任医師や実施医療機関の長に通知、提供しなければなりません。

しかし、その安全性情報をいつまで継続的に提供しなければならないかについてはどこにも規定されておりません。

このため、その取扱いについては治験依頼者によって少なからず差異が見られるかもしれません。

しかし、GCP第20条の趣旨は、治験依頼者が治験責任医師等や実施医療機関の長に最新の安全性情報を提供し、治験期間中の被験者の安全性確保に細心の注意を払っていただくことによって、被験薬による健康被害の拡大を未然に防ごうとすることにあります。

このため、治験依頼者は、少なくとも治験実施計画書で規定される投与及び観察が終了するまで安全性情報を継続提供すべきと考えています。

従って、それ以降の安全性情報の要否は、各実施医療機関でご判断いただければよいと考えています。


【見解改訂理由】

以前は安全性情報の提出は終了報告書が提出されるまで必要であるとの見解でしたが、同様の質問が寄せられたのを機に、本見解を治験119で再検討しました。

その結果、検査・観察の終了以降は安全性情報が実施医療機関に提出されなくとも被験者の安全性確保には大きくは影響しないとの結論に達したために、見解を改訂しました。


■■■ 【関連するGCP条文】 ■■■

(副作用情報等)

第20条

治験依頼者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために必要な情報を収集し、及び検討するとともに、実施医療機関の長に対し、これを提供しなければならない。

2 治験依頼者は、被験薬について法第80条の2第6項に規定する事項を知ったときは、その発現症例一覧等を当該被験薬ごとに、当該被験薬について初めて治験の計画を届け出た日等から起算して1年ごとに、その期間の満了後3月以内に治験責任医師及び実施医療機関の長に通知しなければならない。

3 治験依頼者は、前項に規定する事項のうち当該被験薬の治験薬概要書から予測できないものを知ったときは、直ちにその旨を治験責任医師及び実施医療機関の長に通知しなければならない。

4 治験依頼者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、治験実施計画書及び治験薬概要書を改訂しなければならない。この場合において、治験実施計画書の改訂について治験責任医師の同意を得なければならない。


以上

posted by ホーライ at 15:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 副作用等報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月10日

治験を実施している医療機関統廃合に伴う対応

質問番号:(7) 医療機関統廃合に伴う対応

ご承知の通り、国立病院、療養所では政策により統廃合が進められています。

当院においても本年7月に国立療養所…病院と統合し、新病院(現…病院を施設としてそのまま利用、療養所が統合され新たな医療機関名称を掲げる)が発足することになっております。

国立の場合、契約関係についてはGCPに加え、会計法が適用されており、統合に際し、現病院と新病院の会計は独立した物になります。

そこで、現病院での契約は本年6月末まで、7月以降は新病院で新たに契約締結する事になっております。

医療法上、この統合が新病院設立・設置に当たるか、単に医療機関名称の変更として取り扱われるかは定かではありませんが、治験の継続実施にあたり新病院設置と捉えた場合に実施医療機関としてGCP上の必要な措置(IRB設置、審査、契約、治験薬管理、被験者対応など)、依頼者が対応する内容についてご教示ください。

また、医療機関名称の変更とした場合、契約に際し、治験に関する現病院のすべて債権、債務を新病院が引き継ぐ旨の公文書の発行は最低限必要であると思われますがそれ以外に医療機関、依頼者が必要とされる措置についてご教示ください。






●製薬協見解

病院が統廃合され、新病院が設置された場合、次のような対応が考えられます。

1. 実施医療機関として

各々の病院で作成されていた「治験に係る業務に関する手順書」のすり合せ作業があります。

その結果、以下のような治験に関わる各業務並びにその責任者、担当者が明確となり、それに伴い治験の契約内容の変更が生じる可能性もあります。


1) IRB:委員長並びに委員の選任と事務局の設置

2) 審査:会議の成立要件、通常の審査・迅速審査の定義と対応等の運営に関する事項

3) 契約:契約担当者と契約者

4) 治験スタッフ:治験責任医師・分担医師の資格要件並びに治験協力者の条件、業務内容

5) 治験薬管理:治験薬管理者の選任、保管場所の確保

6) 記録の保存:記録保存責任者の選任、保存場所の確保と保存方法

7) その他 (有害事象発生時の院内手続き、被験者負担軽減費・特定療養費の支払い手続き、等)


治験の継続実施に当たっては、当該治験が新病院において実施体制(設備、治験スタッフ等)の面から可能かどうかを審議する必要があるかと考えます。

治験責任医師に変更がなければ、新病院が当該治験を実施する上での要件を満たしているかどうかだけかと思います。


それで承認された後、A病院の設備体制、手順書で治験を継続する時は、A病院で実施中の治験については、新たな審議等の手続は不要と考えますが、B病院で実施中の治験については、A病院(新病院)での実施可能性等に関して審議する必要があると考えます。


被験者対応に関しては、医療機関が変更になることを説明して、治験の継続の意思を確認する必要があると考えます (文書で再同意を取得する必要はないと考えますが、B病院で治験に参加されていた被験者に対しては、A病院(新病院)で実施されることもあり診療録等に継続の意思の確認を記録しておく必要があるかと思います)。

また、現に治験に参加して頂いている被験者の治験薬投与を事務的な理由により中断する事は倫理的でないので、統合時までに全ての手続きを終了する事が望まれます。



2.治験依頼者として

新たな実施医療機関での業務担当者、手順書の変更、また、新病院が当該治験を継続する上で設備等の要件が満たされているかを調査し、選定作業を行います。

(例えば、A病院で既に実施中であり、統合後、A病院そのままの設備体制、手順書を使用する場合は新たな選定は不要と考えます)。

また、実施中の治験に係わる文書又は記録が新病院に移管されたことを確認するため、直接閲覧をさせて頂くことも考えられます。

治験責任医師等が変更となる場合には、適格性の調査、治験責任医師から計画書及び説明文書の合意(説明文書の場合は本来作成する事になりますが、現にあるものの合意になると考えます)取得が必要と考えます。その後、問題がないことを確認して、当局へ変更届けを提出し、治験実施医療機関との契約手続きが進められます。


■■■ 【関連するGCP条文】 ■■■

●(治験の契約)

第13条 治験の依頼をしようとする者及び実施医療機関(前条の規定により業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、治験の依頼をしようとする者、受託者及び実施医療機関)は、次に掲げる事項について記載した文書により治験の契約を締結しなければならない。

(以下略)



●(治験薬の管理)

第16条 治験依頼者は、治験薬の容器又は被包に次に掲げる事項を邦文で記載しなければならない。

(以下略)



●(治験審査委員会の設置)

第27条 実施医療機関の長は、治験を行うことの適否その他の治験に関する調査審議を次に掲げる治験審査委員会に行わせなければならない。

(以下略)



●(記録の保存)

第41条 実施医療機関の長は、記録保存責任者を置かなければならない。



●(治験分担医師等)

第43条 治験責任医師は、当該治験に係る治験分担医師又は治験協力者が存する場合には、分担する業務の一覧表を作成しなければならない。

(以下略)


以上
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2014年04月09日

契約期間終了後の有害事象の追跡調査に対する契約の必要性

質問番号:(6) 契約期間終了後の有害事象の追跡調査に対する契約の必要性

契約(研究)期間終了後の追跡調査に関し、新たな(あるいは継続)契約が必要か否かについて 本年3月31日に終了した(=契約書の研究期間)治験について、3月末の最終検査で有害事象(検査値の異常変動)が発現したため、治験実施計画書に従い追跡調査を実施していただいた。

これについて、治験事務局は契約が必要か否か判断できないため、治験依頼者が不要と考えるのであればその根拠(見解)を示せとのことであった。

そこで、会社法務部門の了解を得て提出しようとしたところ、治験依頼者の私的見解ではなく、当局あるいは製薬協などがどのように考えているか確認し、示して欲しいとのことであった。

治験事務局に他に事例(経験)はないかお伺いしましたが、他は、追跡調査を網羅する契約を予め締結しており(?)、本件のような事例は初めてとのこと。

なお、現時点で既に追跡調査は実施済みであり、回答は早急(5月末位)に必要なため、契約を不要とする根拠を探すよりも、追跡調査のために新たな契約を締結した方が話しは早いと考え、4月1日以降の追跡調査実施の正当性を確保(網羅)する契約を現時点で締結する方向で考えております。





製薬協見解

治験契約書で取決められる「治験の期間」は、通常、当該実施医療機関において、治験実施計画書で規定される治験薬の投与又は検査・観察が全て終了されるまでの期間をさして扱われていますが、もちろん法的な裏付けがあるわけでありません。

このため、まずは、契約の当事者間において「治験の期間」の認識を共通のものにするため、あらかじめ、両者で十分に話し合っておく必要があります。

さて、有害事象発現症例に対する追跡調査については、GCPの規定に沿って、

(1) その必要性が治験実施計画書で規定されている

(2) 原契約において「治験実施計画書を遵守した治験の実施の必要性(GCP第13条1項13号)」と「被験者に対する健康被害補償の取り扱い(GCP同条同項第16号)」が規定されているといった措置がとられているはずです。

すなわち、たとえ、有害事象発現症例に対する追跡調査の実施時期が「治験の期間」の枠外となったとしても、その実施が契約上担保されているといえますので、特段の不都合が生じるとは考えられません。

従って、治験契約を更新等の手続きは、一般的には、必ずしも必要ないと考えられます。

なお、同様のことは、「記録の保存(GCP同条同項9号)」、「被験者の秘密の保全(GCP同条同項11号)」、「治験依頼者の求めに応じた実施医療機関の原資料等の閲覧への協力(GCP同条同項14号)」等の契約事項についてもいえます。




■■■ 【関連するGCP条文】 ■■■

(治験の契約)

第13条 治験の依頼をしようとする者及び実施医療機関(前条の規定により業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、治験の依頼をしようとする者、受託者及び実施医療機関)は、次に掲げる事項について記載した文書により治験の契約を締結しなければならない。

1)契約を締結した年月日

2)治験の依頼をしようとする者の氏名及び住所

3)前条の規定により業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、受託者の氏名、住所及び当該委託した業務の範囲

4)実施医療機関の名称及び所在地

5)契約担当者の氏名及び職名

6)治験責任医師の氏名

7)治験の期間

8)治験薬の管理に関する事項

9)記録(データを含む。)の保存に関する事項

10)この省令の規定により治験依頼者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項

11)被験者の秘密の保全に関する事項

12)治験の費用に関する事項

13)実施医療機関が治験実施計画書を遵守して治験を行う旨

14)実施医療機関が治験依頼者の求めに応じて第41条第2項各号に掲げる記録(文書を含む。)を閲覧に供する旨

15)実施医療機関がこの省令、治験実施計画書又は当該契約に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、治験依頼者が治験の契約を解除できる旨

16)被験者の健康被害の補償に関する事項

17)その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項


以上


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2014年04月08日

被験者の負担軽減費の相場はいくら?

質問番号:(5) 被験者の負担軽減費

負担軽減費について教えてください。

現行、当院ではSOPで負担軽減費を7,000円としております。

負担軽減費は一律定額にしておくべきものなのでしょうか?

プロトコールによっては患者に与える負担が交通費以外にも考えられる場合がありますが、SOP上で決めておけば金額設定をその都度し直してもいいものなのでしょうか?




製薬協見解

負担軽減費につきましては、平成10年に提言された「治験を円滑に推進するための検討会」の最終報告書で「治験参加に伴う物心両面の種々の負担を勘案した、社会的常識の範囲内における費用の支払いによる被験者の負担の軽減」とされています。

また金額に関しましては、例えば、国立病院・療養所で実施される治験については政医第196号(平成11年7月2日)において、「当面、7,000円を標準とすること。」となっていること、「国立病院・療養所における受託研究」「Q&Aの5」(平成11年7月)で、Q1に対する回答の中では、「7,000円以外の額を設定する際には、会計検査等にも十分対応できるよう、具体的な根拠に基づき設定されるようお願いします。…」となっており、7,000円に限定されたものではないと考えます。

しかし、それが治験に参加する強い誘引にならないように、社会通念上から適切な負担軽減費を考慮する必要があります。

さらに、被験者の負担については治験の内容により異なる場合がありますので、治験依頼者との協議が必要です。

なお、GCP第10条第1項ガイダンス1(6)及び第32条第1項/第2項ガイダンス2(1)Eにありますように、被験者への支払いについての資料は、治験審査委員会の審査対象となることを、付け加えさせて頂きます。



■■■ 【関連するGCP条文】 ■■■

第32条(治験審査委員会の責務)のガイダンス

2 治験審査委員会は、その責務の遂行のために、審査対象として以下の文書の最新のものを実施医療機関の長等から入手すること(専門治験審査委員会にあっては、専門治験審査委員会が必要と認めるものに限る。)。

(1)治験の依頼をしようとする者による治験においては、第10条第1項各号に掲げる文書。

@ 治験実施計画書

A 治験薬概要書

B 症例報告書の見本(治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は、当該治験実施計画書をもって症例報告書の見本に関する事項を含むものと解してよい。)

C 説明文書(説明文書と同意文書は一体化した文書又は一式の文書として取扱われたい(第2条の解説15の(1)のA及びBを参照。)

D 治験責任医師等の氏名を記載した文書(治験責任医師となるべき者がその要件を満たすことを証明した履歴書及びその他の文書並びに治験分担医師となるべき者の氏名リスト(治験審査委員会が必要と認める場合には治験分担医師の履歴書))

E 治験の費用の負担について説明した文書(被験者への支払(支払がある場合)に関する資料)なお、治験審査委員会が必要と認める場合、治験依頼者から支払われることが予定されている治験費用に関する資料の提出を求めることができる。

F 被験者の健康被害の補償について説明した文書

G その他の必要な文書


以上


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2014年04月07日

治験における「代諾者」について教えてください。

質問番号:(4) 代諾者の範囲

治験における「代諾者」について教えてください。

1) GCPでは「この省令において「代諾者」とは、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これに準じる者をいう。」とされています。
ここにあげている「その他これに準じる者」とは、どのような立場の人を指しているのですか?

2) 傷病により意識がないか、意識障害のある場合において、代諾者に親族は含まれますか?

3) 含まれている場合、配偶者や親などの高位のものが優先されるべきかと思いますが、厳密に高位の方の意思を確認する必要はありますか?

4) 医師の説明を聞いた親族で良いですか?

5) 内縁関係にあるものは、代諾者に含まれるのですか?

6) 精神障害者の保護者は、配偶者、親権者、扶養義務者もしくは市長村長となっているようですが、この保護者にあたるかたすべてが代諾者になることはできますか?


親権者、後見人、親族、姻族の解釈は以下の通りと思っています。

親権者:親権を行う者 父母の婚姻中は父母が共に親権者となるが、父母が離婚したときはその一方のみが親権者となる。

後見人:(法)禁治産者又は親権者を欠く未成年者のために財産管理や身上監護の任に当たるべき者。法定代理人でもある。

親 族:民法上、六親等内の血族、配偶者及び三親等内の姻族をいう。

姻 族:婚姻によりできた親戚。配偶者の血族。すなわち夫からみて妻の父母兄弟の類。





製薬協見解

1) GCP第2条ガイダンス11によれば、「被験者とともに、又は被験者に代わって同意をすることが正当なものと認められる者であり、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これらにに準じる者で、両者の生活の実質や精神的共同関係から見て、被験者の最善の利益を図りうる者」とみなすことができれば、すべて代諾者といえます。

なお、緊急時では、付き添いの友人ではどうかとの議論もあります。

しかし、この場合は、GCP第55条(緊急状況下における救命的治験)で対応すべきで、代諾者としない方が妥当と思われます。

2) 親族といえども、1)の条件を満たさなければ、代諾者となりえません。

3) 一般的には、被験者との関係が近い方の(高位の)立場にある代諾者の意思を優先すべきです。

しかし、そのことについては、GCPで規定されていませんので、あまり固守する必要はないと考えています。

この場合も、やはり、1)の条件を満たしているか否かを判断の基準にすべきと思われます。

なお、複数の代諾者(の資格者)がいて、相反する考えを示したような場合、(1)被験者との関係がより近い方の(高位の)代諾者の考えを採用する、(2)同意が得られなかったとみなす、(3)第三者の意見を参考に判断する、等の対応が考えられますので、あらかじめ、その妥当性について治験審査委員会の意見を聴いておくと、その時になって慌てることなく適格な対応がとれると思われます。

4) 説明を聞いた親族であれば誰でもよいというわけではありません。やはり、1)の条件を満たしているか否かを判断の基準にすべきと思われます。逆にいえば、1)の条件を満たしていることを確認したうえで説明することが肝要といえます。

5) 内縁関係であっても、1)の条件を満たしているのであれば、代諾者となりうると考えられます。

6) 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」において、「保護者がいない時等においては、その精神障害者の居住地を管轄する市町村長が保護者となる。」と規定(第21条)されていますが、市町村長については、1)の条件を満たしているとは考えにくいため、代諾者から除外して取り扱うべきと思われます。



■■■ 【関連するGCP条文】 ■■■

(定義)第2条のガイダンス

第21項の「代諾者」とは、治験への参加について、被験者に十分な同意の能力がない場合に、被験者とともに、又は被験者に代わって同意をすることが正当なものと認められる者であり、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これらに準じる者で、両者の生活の実質や精神的共同関係から見て、被験者の最善の利益を図りうる者であること。

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2014年04月06日

予定手術のための入院に対するSAE報告の取扱い(その2)

質問番号:2013-54 予定手術のための入院に対するSAE報告の取扱い(その2)

治験期間中に被験者が骨折され、治療のために入院され、その旨SAEとして報告させていただきました。

退院時に転帰を「回復」にして、SAE報告書を終了しました。

10か月後、骨折内固定術用のボルトを抜去するため再度入院されました。

治験依頼者側からは、ボルト抜去のための入院は前回入院時から予定されていた入院であるため、SAEではなくAEとして挙げてよいとの見解でした。

治験開始前から予定されていた治療入院はSAEに該当しないとわかりますが、治験開始後に、1回目の入院で予定された2回目の入院はSAEとして挙げなくてもよいでしょうか?

また、今回のボルト抜去のための入院はどのように対応したらよいでしょうか?





<< 製薬協の見解 >>

有害事象とすべき事象やその報告方法に関しては、治験実施計画書に別途定められていたり、企業毎に取り扱いが定められている場合がありますので、治験依頼者と協議のうえ対応されることをお勧めします。

なお、一般的には骨折の治療として施されたボルト植込み・抜去は一連の処置であり、症状の再発または増悪がなく予め計画されたとおり抜去のためだけに入院された場合は、当該(ボルト抜去のための)入院が治験開始後に決められたものであっても、新たに発現した重篤な有害事象/有害事象のいずれにも該当しないものと考えられます。

この場合においては、ボルト植込みのための入院時の重篤な有害事象の報告に対する追加報としてあげることが考えられます。



【関連するGCP】

(治験中の副作用等報告)

第48条

治験責任医師は、治験の実施状況の概要を適宜実施医療機関の長に文書により報告しなければならない。

2 治験依頼者が治験を依頼する場合にあっては、治験責任医師は、治験薬の副作用によると疑われる死亡その他の重篤な有害事象の発生を認めたときは、直ちに実施医療機関の長に報告するとともに、治験依頼者に通知しなければならない。

この場合において、治験依頼者、実施医療機関の長又は治験審査委員会等から更に必要な情報の提供を求められたときは、当該治験責任医師はこれに応じなければならない。

3 自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては、治験責任医師は、治験薬の副作用によると疑われる死亡その他の重篤な有害事象の発生を認めたときは、直ちに実施医療機関の長(一つの実施計画書に基づき共同で複数の実施医療機関において治験を実施する場合には他の実施医療機関の治験責任医師を含む。)に報告するとともに、治験薬提供者に通知しなければならない。

この場合において、治験薬提供者、実施医療機関の長又は治験審査委員会等から更に必要な情報の提供を求められたときは、当該治験責任医師はこれに応じなければならない。


★その他の「治験119番」はこちら。
    ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/tiken119/
posted by ホーライ at 01:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 副作用等報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

症例報告書への同意取得日の記載方法

質問番号:(3) 症例報告書への同意取得日の記載方法

外来治験において、同意書の患者署名日と同意書を担当医師が受け取り確認する日が異なることは通常起こっていることです。

登録書やCRFに「文書同意取得日」、「本人文書同意取得日」等を記載するとき、署名日を記載するのか、同意書を受け取り同意確認が成立した日を記載するのか悩むことがあります。

どちらを記載するべきなのでしょうか?



製薬協見解

「文書同意取得日」とか「本人文書同意取得日」といった用語は、GCP上定義されていないこともあり、確かに「被験者が同意書に署名した日」とも「治験責任医師等が同意文書を受け取りその内容確認した日」とも受け取ることができます。

特に、被験者(の候補者)には可能な限り十分な時間を与え治験への参加同意を求めることが強調されている昨今、お問合せのような状況が頻発すると想定されるため、治験依頼者と治験責任医師等との間に認識の食い違いをなくしておくことが急務と考えます。

治験依頼者すべてが同じ考えで「文書同意取得日」等の用語を使用しているわけでない現状においては、個々の治験の開始に先立って、これらの用語について、当該治験依頼者と協議の上お進めいただくこと以外によい対応策が見つかりません。

なお、「文書同意取得日」等の用語を使用しないのであれば、GCP第52条1項において、「同意は、…治験に参加することに同意する旨を記載した文書(同意文書)に、説明を行った治験責任医師等及び被験者となるべき者が日付を記載して、これに記名なつ印し、又は署名しなければ、効力を生じない。」と規定されていることから、例えば、治験責任医師に同意文書の記載欄を「説明年月日、説明者署名、同意年月日、同意者」としていただいた上で、これらの記載と整合するような表示の欄を登録書(票)や症例報告書に設けることも一方法と考えます。



【関連するGCP】

(同意文書等への署名等)

第52条

第50条第1項又は第2項に規定する同意は、被験者となるべき者が説明文書の内容を十分に理解した上で、当該内容の治験に参加することに同意する旨を記載した文書(以下「同意文書」という。)に、説明を行った治験責任医師等及び被験者となるべき者(第3項に規定する立会人が立ち会う場合にあっては、被験者となるべき者及び立会人。次条において同じ。)が日付を記載して、これに記名押印し、又は署名しなければ、効力を生じない。

2 第50条第1項又は第2項に規定する同意は、治験責任医師等に強制され、又はその判断に不当な影響を及ぼされたものであってはならない。

3 説明文書を読むことができない被験者となるべき者(第50条第2項に規定する被験者となるべき者を除く。)に対する同条第1項に規定する説明及び同意は、立会人を立ち会わせた上で、しなければならない。

4 前項の立会人は、治験責任医師等及び治験協力者であってはならない。


posted by ホーライ at 01:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 同意関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする