2014年02月23日

症例報告書への同意取得日の記載方法

質問番号:(3) 症例報告書への同意取得日の記載方法

外来治験において、同意書の患者署名日と同意書を担当医師が受け取り確認する日が異なることは通常起こっていることです。

登録書やCRFに「文書同意取得日」、「本人文書同意取得日」等を記載するとき、署名日を記載するのか、同意書を受け取り同意確認が成立した日を記載するのか悩むことがあります。

どちらを記載するべきなのでしょうか?





<< 製薬協の見解 >>

「文書同意取得日」とか「本人文書同意取得日」といった用語は、GCP上定義されていないこともあり、確かに「被験者が同意書に署名した日」とも「治験責任医師等が同意文書を受け取りその内容確認した日」とも受け取ることができます。

特に、被験者(の候補者)には可能な限り十分な時間を与え治験への参加同意を求めることが強調されている昨今、お問合せのような状況が頻発すると想定されるため、治験依頼者と治験責任医師等との間に認識の食い違いをなくしておくことが急務と考えます。

治験依頼者すべてが同じ考えで「文書同意取得日」等の用語を使用しているわけでない現状においては、個々の治験の開始に先立って、これらの用語について、当該治験依頼者と協議の上お進めいただくこと以外によい対応策が見つかりません。

なお、「文書同意取得日」等の用語を使用しないのであれば、GCP第52条1項において、「同意は、…治験に参加することに同意する旨を記載した文書(同意文書)に、説明を行った治験責任医師等及び被験者となるべき者が日付を記載して、これに記名なつ印し、又は署名しなければ、効力を生じない。」と規定されていることから、例えば、治験責任医師に同意文書の記載欄を「説明年月日、説明者署名、同意年月日、同意者」としていただいた上で、これらの記載と整合するような表示の欄を登録書(票)や症例報告書に設けることも一方法と考えます。




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2014年02月16日

外国人被験者のエントリーは可?

質問番号:(2) 外国人被験者のエントリー

外国人のエントリーの是非について教えていただきたいのですが・・・。

少なくとも当院で受託している試験プロトコールにはその是非について記載されていません。

ただ、CRFにはじめからモンゴル人種にチェックのあったものはありました。

医薬品ごとに代謝酵素等々問題がある場合、ない場合があると思います。

問題がある場合のみプロトコールに記載されているのでしょうか、あるいは無条件にNGあるいはOKなのでしょうか。

個人的には、好ましくないとは思いますが、多分どこにもかかれていないと思います。

外国人をエントリーすることは、無条件に海外データを受け入れるに等しいことでブリッジング試験を無視することになると思います。

ただ、外国人というのも曖昧で国籍だけで言えるものでもないと思います。

人種で言うのが正確ですが、その特定も難しいことがあると思います。

また世代の問題もあるかと思います。





<< 製薬協の見解 >>

外国人の治験へのエントリーは、試験プロトコール(以下、「治験実施計画書」)の中で何ら規定(制限)されていないのであれば、意図的に外国人ばかりを対象としない(日本の住民集団の構成比とかけ離れない)限り、「可(問題なし)」として取り扱っていただいて差し支えありません。

ただし、この場合、当該被験者に理解できる言語を用いた説明文書によって適切にインフォームド・コンセントを取得する必要があります。

ところで、国内で実施される治験では、ほとんどの場合、外国人のエントリーを避けるための措置、具体的には人種又は民族に関する対象の選択・除外基準の設定、がとられていません。

これは、1)承認申請資料の収集を目的として国内で実施する臨床試験に対して、規制上、「日本人を対象とすることの必要性」が明確に示されていない、2)国内で実施された臨床試験成績は、GCPが遵守され収集・作成され、かつ信頼性基準に適合していれば、一様に日本(人)における有効性及び安全性の評価を行うための資料として受入れられる、といったことにもよります。


一方、治験実施計画書中の対象の選択・除外基準として人種又は民族を規定しておく必要のある場合としては、1)人種又は民族特有のリスク等を予測させるデータが得られている場合(リスク回避の措置として)、2)薬物動態試験、等が上げられます。

なお、被験者の選定に際し人種又は民族を不問としながらも症例報告書への記載を求めるといったことは、1)多国籍企業による治験、2)multinational trial(同一プロトコールによる多国間試験、今後その実施が増加すると予想されている)、等において多く採用されているようです。
posted by ホーライ at 05:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験実施計画書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月11日

治験責任医師の異動/交代で治験責任医師が不在になる場合

<< 質問 >>2p

質問番号:(1) 治験責任医師の異動/交代(その1)

契約終了後、治験責任医師が異動して後任者が存在しない場合の書類の手続についての質問です。

契約が年度末で終了する治験で、たまたま治験責任医師も同時期に異動があり、他施設へ移られるといった場合、4月以降発生する書類において、治験責任医師の不在により不都合が生じます。

契約を継続する場合は、後任の治験責任医師が引き継ぐため、問題ないのですが、上記の場合、全く治験責任医師不在の状態となってしまいます。

例えば、当院では、新GCP施行後、治験終了時、診療科長、治験責任医師より、(様式では連名)病院長へ治験終了報告書を提出することになっていますが、治験終了報告書の提出が、年度を越えた場合、治験責任医師として当該書類を提出する者がおりません。

こういった場合は、診療科長の署名捺印のみでも、GCP上、問題ないでしょうか?





<< 製薬協の見解 >>

治験終了報告書を実施医療機関の長に提出すべき治験責任医師が不在ということになりますので、GCP第49条第3項や貴施設の規程に照らしても、問題ないとはいえません。

このため、実施医療機関の関係者の方々には、例えば、下記の点にご留意いただくなどして、上述のような事態を回避願いたいと考えています。


治験責任医師:

(1)異動日までに治験終了が見込まれる場合、治験終了後速やかに治験終了報告書を提出する。

(2)異動日までに治験終了が見込めない場合、治験責任医師変更の手続きを速やかに実施する。

治験事務局等:

治験責任医師に対して、異動情報の入手時又は定期的に、

治験終了報告書の提出の必要性について連絡をとる。




治験責任医師から治験終了報告書が実施医療機関の長に提出された以降については、GCP上、治験責任医師宛に又は治験責任医師から発出されなければならない文書はありませんので、実施医療機関固有の文書については、各実施医療機関の判断で取扱っていただいてよいと考えています。

なお、治験終了報告書提出後において、治験依頼者が症例報告書に関連してお問い合わせしたり、監査に伺ったりすることがありますので、それらの受入れと関連文書の保存等に関して治験責任医師と治験分担医師あるいは治験協力者との間の受け継ぎ体制作りをお願いします。



★その他の「治験119番」はこちら。
    ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/tiken119/


posted by ホーライ at 06:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験責任医師関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする