2014年01月31日

審査委託先治験審査委員会の委員名簿における外部委員

<< 質問 >>377p

質問番号:2013-48 審査委託先治験審査委員会の委員名簿における外部委員

当院は、他の医療機関(クリニック院長)が設置した治験審査委員会と、審査の委受託契約を結んでいます。

当院が入手している「治験審査委員指名書兼名簿」の委員区分は、実施医療機関を外部クリニックと見なしており、当院との利害関係の有無を示す内容ではありません。

また、外部クリニック院長は理事長を兼任されているためか、院長名で発行されるべき書類において、以下のように院長印が使用されている場合と理事長印が使用されている場合とが混在しています。

治験審査委員会委受託契約書:院長印

治験審査委員指名書兼名簿:院長印と理事長印


【質問1】

当院を実施医療機関とし、当院との利害関係の有無を示す委員区分を明記した「治験審査委員指名書兼名簿」を入手する必要はあるでしょうか?

【質問2】

外部クリニック院長名の書類は、院長印で統一する必要はあるでしょうか?



<< 製薬協の見解 >>

【質問1】

GCP第28条第3項ガイダンス4に、治験審査委員会の委員名簿には「職業、資格及び所属が含まれること」とあることから、「実施医療機関(貴院)と利害関係を有しない者」が加えられているか否かは、委員名簿で判断できると思われます。

したがいまして、別途「貴院との利害関係の有無を示す委員区分」を記載した名簿を発行していただく必要はないと考えます。


【質問2】

他の医療機関が設置した治験審査委員会に調査審議を行わせる場合は、あらかじめ実施医療機関の長と当該治験審査委員会の設置者である医療機関の長の間で契約を締結する必要があります。

また、委員については治験審査委員会の設置者が選任することになっています。

一方、医療法人(例えば理事長)が治験審査委員会を設置することはGCPでは認められていません(見解2007-04参照)。

押印は誰がどの立場で決裁をしたのかを示す行動ですので、第三者からの誤解を避けるためにも、ご質問にある書類に押印する際には、正しい職位(院長)が示された印鑑を使用していただく必要があると思われます。


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2014年01月26日

ファーマコゲノミクス試料の匿名化

質問番号:2013-39 ファーマコゲノミクス試料の匿名化

国際共同治験においてファーマコゲノミクス(PGx)の内容が含まれることが多くなってきています。

製薬協提言資料「医薬品の臨床試験におけるファーマコゲノミクス実施に際し考慮すべき事項(暫定版)(2008年3月14日)」におけるPGxにおける試料の匿名化に関して、特に、治験依頼者(および遺伝子解析機関)でさらなるコード化は行わない場合における、実施医療機関側で行う対応表の保管に関して質問がございます。


「ゲノム薬理学を利用した治験について(平成20年9月30日薬食審査発第0930007号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)」には、具体的な運用についての記載がないため上記製薬協の資料を参考にしています。



18ページに連結可能匿名化はシングルコードかダブルコードのいずれかを用いるとあり、22ページにシングルコードが“治験の標準”と記載されています。



通常の治験では18ページに治験で通常用いる個人識別情報と被験者識別コードの対応表は、「GCP必須文書である被験者識別コードのリストに該当し」とあるため、通常の治験で用いている対応表をもってシングルコード化したとみなし、PGx試料においての連結可能匿名化の要件を満たしたと考えて、治験のPGx試料の取り扱いとして妥当と考えてよいでしょうか?


もしくは、実施医療機関内で新たに被験者識別コードのリストと別の符号を結びつける対応表を新たに作成する必要があるでしょうか?

ゲノム遺伝情報を含む個人情報の扱い、盲検化のそれぞれの視点からご回答をいただければ幸いです。


対応表の保管責任者は、18ページに「個人識別情報と被検者識別コードの対応表は、GCP必須文書である被検者識別コードのリストに該当し」と書かれています。

GCP必須文書は治験責任医師が保管することになっているため、この対応表も通常の治験と同様に治験責任医師の保存でよいのでしょうか?



19ページに「シングルコードとダブルコードの対応表を管理する者は’被検者識別コードのリスト’を知り得る立場にあってはならない」と記載されていますが、この内容はシングルコードによる連結可能匿名化を行うときにも該当するのでしょうか?

該当するとすれば、治験責任医師や治験管理室のスタッフは知り得る立場であるため、そうでない事務官などが行うべきでしょうか?






<< 製薬協の見解 >>

治験において収集されたPGx解析データを医薬品承認申請資料とする場合には、当該データの原資料にまで遡ることができるよう、PGx試料の匿名化は連結可能匿名化される必要があります。


また、実施医療機関におけるPGxの匿名化はシングルコード化まででよく、ダブルコード化及びシングルコードとダブルコードの対応表の管理は、PGx解析を実施する側である治験依頼者或いは治験依頼者によって委託された外部機関が行うことでよいと思われます。


実施医療機関において保存すべき、コードと被験者の個人識別情報との対応表は、GCPにおいて保存すべき文書とされている”被験者識別コードのリスト”を用いることでも問題ないと考えます。


また、当該対応表の保管責任者につきましても、治験における”被験者識別コードのリスト”の保存責任者(通常、治験責任医師)が管理することで問題ありません。


なお、シングルコードとダブルコードについては、「ゲノム薬理学における用語集について」(平成20年1月9日 薬食審査発第0109013号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知 / 薬食安発第0109002号 同省同局安全対策課長通知)(ICH E15)をご参照下さい。



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2014年01月11日

製造販売後臨床試験における健康被害補償と副作用被害救済制度

<< 質問 >>366p

質問番号:2013-35 製造販売後臨床試験における健康被害補償と副作用被害救済制度

平成25年8月30日に発出された「薬物に係る治験の計画の届出及び治験の実施等に関する質疑応答(Q&A)について」のQ17に関しての質問です。

当該Q&Aによりますと、製造販売後臨床試験の健康被害補償については、副作用被害救済制度での補償が一切出来ないように読み取れます。

製造販売後臨床試験においても、いわゆる白箱(白ラベル)か否かが線引きであると理解しておりました。

現在実施中又は今後実施される製造販売後臨床試験において、補償に対するこの考え方を変更すべきでしょうか。

また、市販薬をそのまま使用する試験においても、補償は全て試験依頼者の保険その他の措置にて行われると解釈すべきでしょうか。



<< 製薬協の見解 >>

医薬品副作用被害救済制度は、医薬品を適正に使用したにもかかわらず副作用による一定の健康被害が生じた場合に、医療費等の給付を行い、これにより被害者の救済を図ろうという趣旨の制度です。

対象となる医薬品は医療機関で通常の診療の際に処方されたものや薬局で購入したものであり、製造販売後臨床試験薬は対象外です。

製造販売後臨床試験依頼者は、あらかじめ、製造販売後臨床試験に係る被験者に生じた健康被害(受託者の業務により生じたものを含む。)の補償のために、保険その他の必要な措置を講じておかなければなりません(GCP第14条)。

即ち、白箱(製品ではなく当該試験用に製造・包装された製造販売後臨床試験薬)を使用するか否かにかかわらず、製造販売後臨床試験で生じた健康被害への補償は、医薬品副作用被害救済制度の対象ではなく、製造販売後臨床試験依頼者が対応する必要があります。


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2014年01月04日

共同治験審査委員会における設置者代表の変更

質問番号:2013-34 共同治験審査委員会における設置者代表の変更

【治験審査委員会の背景】

・A、B、Cの3病院の院長が共同で設置した治験審査委員会

・当該治験審査委員会による審査受託のための契約等は、設置者代表としてA病院院長が行う旨をSOPに規定

・設置者代表としての名称が使用された具体的な契約としては、

- 治験審査委受託契約(案件毎でなく包括して契約)と

- 治験審査費用に関する覚書(治験案件毎の契約)等を

- A病院(設置者代表)と実施医療機関や治験依頼者等との間で締結している。


【質問】

設置者(3病院)自体は変更せず、設置者代表をA病院からB病院に変更(SOP改訂)した場合、契約書等の取り扱いはどのようになるのでしょうか。

過去に締結した契約は無効となり、変更後の代表設置者との再契約が必要になるのでしょうか?

それとも「設置者代表変更のお知らせ」等を通知し、読み替えでの対応が可能なのでしょうか?

その他、契約関連以外にも、上記変更に関連して注意すべき事項がありましたらご教示下さい。



<< 製薬協の見解 >>

実施医療機関の長と治験審査委員会の設置者はGCP第30条第2項に従い契約を締結することが規定されています。


ご質問のケースの治験審査委員会は、GCP第27条第1項第1号にある、複数の医療機関の長が共同で設置した治験審査委員会に該当しますが、治験審査委員会そのものは変更がなく、設置代表者が変更となることから、実施医療機関の長と治験審査委員会の設置者間の契約の効力が失われるものではありません。

「設置者代表変更のお知らせ」等を当該契約の相手方である実施医療機関、治験依頼者に通知することで問題ありません。

なお、当該治験審査委員会の手順書、関連書式等に設置代表者名が記載されている場合には、これらを改訂することもご留意ください。


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