2012年12月30日

GCPの解説:被験者から必ず文書で事前に同意を得る

■■■■■■■■ GCPの説明(15) ■■■■■■■■   

この解説は以下の通知に準拠しています。

「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」の運用について」(薬食審査発1024 第1 号 : 平成23年10月24日)
    ↓
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T111026I0030.pdf


●○● GCPの解説:被験者から必ず文書で事前に同意を得る ●○●


全ての被験者から、治験に参加する前に、自由意思によるインフォームド・コンセントを得ること。

(GCP省令第1条の運用通知より)


【解説】

インフォームド・コンセントは「事前」に取得すること。

治験実施計画書で規定されている「ウォッシュアウト」や「治験のための検査」よりも先だって同意を得ないといけない。

逆に言うと、同意を得る前に「ウォッシュアウト」や「治験のための検査」を行ってはいけない。






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2012年12月29日

GCPの解説:治験関係者には教育と訓練が義務付けられている

■■■■■■■■ GCPの説明(14) ■■■■■■■■   

この解説は以下の通知に準拠しています。

「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」の運用について」(薬食審査発1024 第1 号 : 平成23年10月24日)
    ↓
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T111026I0030.pdf



●○● GCPの解説:治験関係者には教育と訓練が義務付けられている ●○●

治験の実施に関与する者は、教育、訓練及び経験により、その業務を十分に遂行しうる要件を満たしていること。

(GCP省令第1条の運用通知より)


【解説】

例えば治験依頼者(製薬会社)やCRO(医薬品開発業務受託機関)のモニターはSOP(標準業務手順書)等で「モニターの資格要件・モニターの要件」を規定しなければならない。(GCP第

21条)

その「モニターの要件」に「モニターの研修時間」や「モニターの研修受講時間」を規定している場合が多い。

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2012年12月28日

GCPの解説:被験者の医療上の責任はあくまでも医師にある

■■■■■■■■ GCPの説明(13) ■■■■■■■■   

この解説は以下の通知に準拠しています。

「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」の運用について」(薬食審査発1024 第1 号 : 平成23年10月24日)
    ↓
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T111026I0030.pdf



●○● GCPの解説:被験者の医療上の責任はあくまでも医師にある ●○●

被験者に対する医療及び被験者のためになされる医療上の決定に関する責任は、医師又は歯科医師が常に負うこと。

(GCP省令第1条の運用通知より)


【解説】

製薬会社が依頼している治験であっても、個々の被験者に対する医療上の決定と責任は、あくまでも「医師」(治験責任医師又は治験分担医師)です。



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2012年12月27日

GCPの解説:治験実施計画書はIRBで審査・承認してもらう

■■■■■■■■ GCPの説明(12) ■■■■■■■■   

この解説は以下の通知に準拠しています。

「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」の運用について」(薬食審査発1024 第1 号 : 平成23年10月24日)
    ↓
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T111026I0030.pdf



●○● GCPの解説:治験実施計画書はIRBで審査・承認してもらう ●○●

治験は、治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して実施すること。

(GCP省令第1条の運用通知より)


【解説】

治験実施計画書を改訂した場合は、それもまたIRB(治験審査委員会)で審議してもらい、承認してもらう必要があります。

治験実施計画書の改訂はIRBで「迅速審査」ではなく「通常の審査」で審議すること。

IRBの承認が得られるまで「改訂された治験実施計画書」で治験を実施しないこと。



【関連する「治験119」】

(質問)

質問番号:2010-50 治験依頼者からのレターによる治験実施方法の変更

治験実施計画書に記載のない選択基準・除外基準に該当する項目(臨床検査のある1項目が治験依頼者の決めた範囲内の値でないと投薬ができない)の追加の連絡が、治験開始後に治験依

頼者よりレターにてありました。

治験依頼者は、治験実施計画書を変更せずに治験責任医師宛のレターのみにて対応し、当該レターのみを治験審査委員会にて審議するとのことです。

レターの位置づけは治験実施計画書と同等とするとのことでしたが、治験実施計画書の改訂なく、レターのみでの対応は可能なのでしょうか。
 
また、レターのみで対応可能な場合、位置づけは治験実施計画書と同等であることから、レターに対する治験責任医師の合意は必要となりますでしょうか。


(見解)

ご質問の追加連絡の内容が、選択基準・除外基準項目の追加という位置づけでしたら、GCPに従った治験実施計画書の改訂手続きが必要です。

当該変更について治験責任医師の合意を文書で取得し(GCP第7条第4項)、これが倫理的及び科学的に妥当であるかどうかを治験審査委員会にて審査する必要があります(GCP第31条第2項

)。

一方、治験実施計画書にて規定されている項目に対する補足説明ということでしたら、治験責任医師等に周知させることを目的としてレター等にて対応することも可能と考えます。
 
なお、治験実施計画書を改訂する際に、必ずしも全ての変更内容を反映した版を作成する必要はありません。

改訂内容が明確であり、上記のような手続きが取られるのであれば、変更事項のみを記載した文書のみを作成することでも問題ないと思われます。




posted by ホーライ at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験実施計画書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月26日

GCPの解説:治験実施計画書は現実的かどうかを十分に検討する

■■■■■■■■ GCPの説明(11) ■■■■■■■■   

この解説は以下の通知に準拠しています。

「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」の運用について」(薬食審査発1024 第1 号 : 平成23年10月24日)
    ↓
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T111026I0030.pdf


●○● GCPの解説:治験実施計画書は現実的かどうかを十分に検討する。 ●○●

治験は科学的に妥当でなければならず、治験実施計画書にその内容が明確かつ詳細に記載されていること。

(GCP省令第1条の運用通知より)


【解説】

治験実施計画書(プロトコル)には主として、その治験の実施手順と評価基準等が含まれています。

あまりにも非現実的な実施手順や臨床検査スケジュールを設定すると、結局、「治験実施計画書逸脱」を多発させます。

現実的な治験実施計画書を作成するには臨床の現場の医師の意見を参考にしましょう。

それが治験実施計画書逸脱防止策、プロトコル逸脱防止策になります。


posted by ホーライ at 02:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験実施計画書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月25日

GCPの解説:治験実施の妥当性

■■■■■■■■ GCPの説明(10) ■■■■■■■■   

この解説は以下の通知に準拠しています。

「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」の運用について」(薬食審査発1024 第1 号 : 平成23年10月24日)
    ↓
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T111026I0030.pdf



●○● GCPの解説:治験実施の妥当性 ●○●


治験薬に関して、その治験の実施を支持するのに十分な非臨床試験及び臨床試験に関する情報が得られていること。

(GCP省令第1条の運用通知より)


【上記GCPの解説】

上記の「非臨床試験及び臨床試験に関する情報」は治験薬概要書に記載されます。

モニターもCRCも治験責任医師も治験分担医師もしっかりと読みましょう!

「臨床試験に関する情報」には、既に実施された治験や海外での治験の情報も含まれます。

治験薬概要書は必ず最低でも1年に1回、治験依頼者が見直すようGCPで義務付けられています。(GCP第8条運用通知)



posted by ホーライ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験薬概要書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月24日

GCPの解説:被験者の選定

■■■■■■■■ GCPの説明(9) ■■■■■■■■   

この解説は以下の通知に準拠しています。

「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」の運用について」(薬食審査発1024 第1 号 : 平成23年10月24日)
    ↓
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T111026I0030.pdf



●○● GCPの解説:被験者の選定 ●○●

治験を開始する前に、個々の被験者及び社会にとって期待される利益と予想される危険及び不便とを比較考量すること。

期待される利益によって危険を冒すことが正当化される場合に限り、治験を開始し継続すべきである。

(GCP省令第1条の運用通知より)


【上記GCPの解説】

上記の「社会にとって」よりも「被験者にとって」のほうが100億倍大事です。

「期待される利益」とは具体的には「治験薬の効果」です。

「予想される危険及び不便」とは具体的には「治験薬の副作用」や「臨床検査」等の侵襲的な検査等です。

posted by ホーライ at 09:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 被験者の選定 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月13日

GCPの解説:治験責任医師が退職等で不在になった場合の対応

■■■■■■■■ GCPの説明(8) ■■■■■■■■   
この解説は以下の通知に準拠しています。

「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」の運用について」(薬食審査発1024 第1 号 : 平成23年10月24日)
    ↓
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T111026I0030.pdf



●○● GCPの解説:治験責任医師が退職等で不在になった場合の対応 ●○●


治験119の質問番号:(1) 治験責任医師の異動/交代(その1)より

(製薬協の見解)

治験責任医師から治験終了報告書が実施医療機関の長に提出された以降については、GCP上、治験責任医師宛に又は治験責任医師から発出されなければならない文書はないで、実施医療機関固有の文書については、各実施医療機関の判断で取扱ってよい。



上記の「製薬協からの回答」は以下の質問から来ている。

契約終了後、治験責任医師が異動して後任者が存在しない場合の書類の手続についての質問です。

契約が年度末で終了する治験で、たまたま治験責任医師も同時期に異動があり、他施設へ移られるといった場合、4月以降発生する書類において、治験責任医師の不在により不都合が生じます。

契約を継続する場合は、後任の治験責任医師が引き継ぐため、問題ないのですが、上記の場合、全く治験責任医師不在の状態となってしまいます。

例えば、当院では、新GCP施行後、治験終了時、診療科長、治験責任医師より、(様式では連名)病院長へ治験終了報告書を提出することになっていますが、治験終了報告書の提出が、年度を越えた場合、治験責任医師として当該書類を提出する者がおりません。

こういった場合は、診療科長の署名捺印のみでも、GCP上、問題ないでしょうか?



【上記GCPの解説】

治験責任医師が医療機関の長へ提出すべき書類は「治験の開始」〜「治験中」〜「治験終了時」で、色々とある。

それらは、いちいち、GCPを当たる必要がある。

とりあえず、「今は治験のどの時期にあたるか?」に絞って、GCPを読むと良い。

ちなみに上記の質問に関するGCP省令は「第41条」です。

次のように記載されています。

***********

〈第4項〉

1 実施医療機関の長は、治験責任医師が治験の終了を報告してきた場合(第49 条第3項参照)には、治験審査委員会等及び治験依頼者に対し、その旨を文書で通知するとともに、治験責任医師から提出された報告書に基づき、治験結果の概要を報告すること。

***********



posted by ホーライ at 20:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験責任医師関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月12日

治験責任医師がCRFを点検・署名する時期

■■■■■■■■ GCPの説明(7) ■■■■■■■■   
この解説は以下の通知に準拠しています。

「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」の運用について」(薬食審査発1024 第1 号 : 平成23年10月24日)
    ↓
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T111026I0030.pdf



●○● 治験責任医師がCRFを点検・署名する時期 ●○●

治験分担医師が作成した症例報告書について、治験責任医師が点検し、記名押印又は署名する時期について、症例報告書に記載した内容に問題がないことを確認したとき。

(関連GCP条文:第47条第1項及び第3項)


【上記GCPの解説】

以前のGCPでは治験責任医師がCRFに署名する時期は「治験依頼者に症例報告書を提出するとき」だったのですね。

でも、それだと、治験分担医師が一度、症例報告書を提出しても、モニター等がチェックすると、ミス等が見つかり、また、治験分担医師に症例報告書を訂正してもらわないといけない。

すると、それを治験責任医師がまた確認して署名等が必要になる。

でも、上記の改訂により治験責任医師が症例報告書に署名等をするのは「最終的に問題が無くなった時(症例報告書の固定のとき)」でもよくなった。

現実的な改訂でよかったですね。



posted by ホーライ at 20:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験責任医師関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月11日

治験責任医師が重要な連絡記録を保存する件

■■■■■■■■ GCPの説明(6) ■■■■■■■■   

この解説は以下の通知に準拠しています。

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    ↓
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T111026I0030.pdf



●○● 治験責任医師が重要な連絡記録を保存する件 ●○●

治験の実施に関する重要な事項に係る治験依頼者との書簡、会合、電話連絡等に関する文書又は記録を治験責任医師も保存すること。

(関連GCP条文:GCP省令の第41条第1項)


【上記GCPの解説】

これは結構、現実化するのが厳しい条文だ。
モニターとの電話連絡等を全ての治験責任医師がきちんとやってくれるとは考えにくい。

そこで、たとえば治験責任医師に「e-メール」で重要な情報を送信する時は以下の文章をメールの最後に入れるといい。


*************

本メールの内容はGCP上、重要な内容になっておりますので、必ず、保存をお願い致します。

*************


ついでにメールのCCにCRCの方も入れるといい。
また、当然だが、自分もそのメールを残し、それをモニタリング報告書に記録しておく(電話の場合も)。







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2012年12月10日

症例報告書(見本)の事前提出について

■■■■■■■■ GCPの説明(5) ■■■■■■■■  

この解説は以下の通知に準拠しています。

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●○● 症例報告書(見本)の事前提出について ●○●


★治験実施計画書について、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れるような場合はIRBへの提出が不要になった。

(関連GCP条文:GCP省令の第5条、第7条第4項及び第5項、第10条第1項、第13条第1項、第15条の3、第15条の4第1項及び第4項、第15条の7、第20条第4項、第32条第1項、第2項、第6項及び第7項、第36条第1項及び第2項)


【上記GCPの解説】

治験を医療機関に依頼するまでにCRFの視覚的な「デザイン」が決まってなくてもよくなったわけだ。

EDCとかe-CRFのデザインとか、結構、デザインに時間がかかるので、とりあえず、「CRFに記載すべき項目が治験実施計画書から読み取ればよい」となった。

だから、治験の立ち上げ時間が短縮できるようになった。(CRFのデザインが決まる前に医療機関に治験の申請ができる。)

僕の素朴な疑問だけど、そもそもCRFについてIRBで審査が必要なのだろうか?



●【関連する「治験119」】●

質問番号:2008-34 症例報告書の様式・レイアウトの変更

(質問)

GCP第10条(実施医療機関の長への文書の事前提出)には「(3)症例報告書の見本」の提出が定められています。
 
新規申請の際に見本が提出されており、その時点では紙媒体のCRFとのことでした。

その後、体制が変わったらしくElectronic Data Caputure System (EDC)に変更になるという連絡を受けました。CRFの内容自体の変更はないそうです。
 
GCP第10条に「症例報告書の見本」の提出が定められている理由は報告内容を確認するためだと思うのですが、紙媒体⇒EDCへの変更(又はその逆)の場合はIRBへ変更の報告などは不必要と考えて宜しいでしょうか。

元々新規申請の際に「症例報告書の見本」について紙媒体かEDCかを明記する必要もないと考えていますが、いかがでしょうか。


(製薬協の見解)

症例報告書(CRF)の見本の改訂に当たり、実施医療機関の長への事前提出が不要なのは、レイアウトの変更或いは電子情報処理組織の利用による仕様の変更(GCP運用通知第10条第1項1(3))とされています。

ご質問のように、既に依頼された治験において紙媒体のCRFからEDCへの変更(又はその逆)は、異例のケースであり、GCPではそこまで規定されておりません。
 
しかし、この場合においては、報告方法が単に紙から電子に変更されるだけでなく、治験責任医師等及びCRCによる臨床データや電子署名のeCRFへの入力、中央臨床検査会社から治験依頼者への臨床検査値のロード、モニターによる直接閲覧方法など実施医療機関側を含む治験実施体制も変更されることになることから、治験実施計画書中のCRFの記載・提出に関する記述が変更されるものと思われます。
 
以上のことから、CRF見本の変更に関する審査は必要ないと考えられますが、治験実施計画書の変更という点ではIRBの審査が必要(多くの場合は迅速審査で可)になると考えられます。

(注釈)

GCP第10条第1項運用通知1〈平成23年10月24日薬食審査発1024第1号〉において、「治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は、当該治験実施計画書をもって症例報告書の見本に関する事項を含むものと解してよい。」と規定されましたので、症例報告書の見本は、実施医療機関の長への提出文書として必須ではありません。





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2012年12月09日

CROやSMO等の外部機関での記録の保管

GCPの解説/GCPのポイント


■■■■■■■■ GCPの説明(4) ■■■■■■■■


●○● GCPの解説:CROやSMO等の外部機関での記録の保管 ●○●

★CROもSMOも受託した業務に関し、作成した保存すべき文書又は記録(データを含む。)については保管しなければならないこと及び監査等の調査時において直接閲覧に供さなければならないこと。

(関連GCP条文:GCP省令の第12条、第15条の8第1項、第30条第2項、第39条の2)


大事なことは、CROもSMOも監査や総合機構の実地調査の対象になるということですね。

また、もっと大事なことはCROやSMOや臨床検査センターや外部保管倉庫等の外部機関でも治験に関連する記録(データも)を、該当治験薬が承認されれまで保存しておかなければならないってこと。

「契約書に保存期間は10年」等と書いてしまうとまずいです。

書類(データ)が発生してから新薬の承認を得るまで10年以上かかることがありますからね。

できたら「断りが無い限り「永久保存」」とするといいと思いますよ。



●【関連する「治験119」】●

★★質問番号:2011-03 原資料である診療録の保存期間

(質問)

当院における診療録の保存期間が、「永久保存」から「20年保管」(期間限定)へと変更になりました。

当院の場合、治験のワークシート等と通常診療の情報(紙カルテ)は別保管しています。

治験のワークシートやCRFなどはもちろん、治験事務室にて厳密に管理しています。
 
「最初に記載のあった資料(又は、CRF転記の元となった資料)が原資料」であると言われていることから、現疾患の発現時期などの記載がある過去の紙カルテは原資料として取り扱われるべきであり、20年以上前の紙カルテも治験事務室として、保管義務が発生するのではないかと懸念しております。

現在、当院での「原資料の保管義務」がある全ての治験について、該当する過去の紙カルテを探し出さなければ、「原資料の保管義務」に抵触するのでしょうか。



(製薬協の見解)

医師法第24条第2項にありますように診療録の保存期間は5年ですので、20年の保存は貴医療機関の規定との前提で回答いたします。

GCP第41条第2項により、治験の原資料は以下の期間のうちいずれか遅い期間まで保存しなければなりません。
 
1)当該被験薬に係る医薬品についての製造販売の承認日
 
2)治験の中止又は終了後3年が経過した日
 

さらに、治験依頼者が上記よりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について、実施医療機関は治験依頼者と協議することとなっています(GCP第41条第2項運用通知 1)ので、原資料の保存期間は治験依頼者と実施医療機関が締結する個々の治験の契約書で規定されることになります。

したがいまして、治験の原資料となる診療録は、個々の治験契約書に規定された期間保存する必要があります。
 
GCP第2条運用通知 3に「原資料とは、被験者に係る診療録、検査ノート、治験薬等の投与記録等の治験の事実経過の再現と評価に必要な記録を指す。」とありますが、原資料となる記録の範囲は、治験開始前に治験責任医師及び治験事務局等が治験依頼者(又はモニター)に確認することとなっています(「”モニタリング及び監査の受入れに関する標準運用指針”等の送付について」平成12年7月24日、医薬審第889号)。

したがいまして、現在の疾患に関する20年前の診療録を原資料として決めたのであれば、その診療録は当該治験の契約書に規定された期間保存する必要があります。
 
ただし、原資料を20年間以上保存が必要になるというようなケースは非常に稀であると思われます。

また、当該治験の原資料に当たる部分の記録が保存されていれば事足りますので、当該被験者の(20年間以上の)全ての診療録を保存しておく必要はないものと思われます。

診療録廃棄の際には上記を確認の上、その時点で「保存期間満了」の通知が治験依頼者から届いていないようであれば、必要に応じて治験依頼者に廃棄の可否を協議されることをお勧め致します。




★★質問番号:2012-01 検査機関における精度管理等を保証する記録

(質問)

2012年4月より、治験依頼者による検査機関の精度管理記録確認が実施されますが、当該精度管理記録の保存期間は、必須文書と同様期間保存の義務がありますか?


(製薬協の見解)

GCP第4条第1項運用通知4に規定されていますように、治験に係る検体等の検査機関(実施医療機関の検査室等を含む。)において検査が適切に実施されて治験に係るデータが信頼できることを保証するため、治験依頼者は当該検査機関における精度管理等を保証する記録等を確認しなければなりません。

つまり、この「精度管理等を保証する記録等」は、検査データ(原データ)の信頼性を支持する重要な文書ですので、GCP第41条第2項に規定されています期間中、当該文書を保存しておく必要があります。


******************

(参考)

●モニタリング及び監査の受入れに関する標準運用指針
   ↓
http://www.japal.org/contents/20000724_889.pdf


●下記のページで「保存期間」で検索してみてください。

「製薬協:治験119」
    ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/tiken119/


**************************************************

●治験に関するニュースのまとめ(サイト版)
https://sites.google.com/site/chikenews/

●治験に関するニュースのまとめ(ブログ版)
http://chiken-adventure.seesaa.net/

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2012年12月06日

治験の費用の負担

GCPの解説/GCPのポイント


●○● 治験の費用の負担 ●○●

「治験の費用の負担について説明した文書」について、原則として、被験者への支払に関する資料である。

(関連するGCP:GCP省令第10条第1項第6号)

第15条の7に定める「治験の費用に関する事項を記載した文書」について、原則として、被験者への支払に関する資料であること(被験者への支払いがある場合)。

この運用通知が出るまでは「治験の費用に関する事項」とは「治験責任医師に支払う治験費用」とか「施設に支払う研究費」という解釈が多数でした。

でも、この運用通知が出て、これは「被験者への支払い」であることが明記されました。

「被験者への支払い」とはフェーズ1では「謝礼」ですし、フェーズ2以降では「被験者の負担軽減費」(外来の場合のみ)ですね。




(質問)質問番号:2010-49 負担軽減費提供に代えての(被験者への)物品提供

現在、海外で実施しております弊社試験において、負担軽減費に代わるものとして、被験者への物品提供を検討しております。

国内においても、本国際共同治験への参加を検討する上で、物品提供の可否も検討事項の一つとして挙がっております。
 
そこで、本件につきましてGCP上問題となるのか、仮に問題がないとするなら、実施上どのような点に留意すべきなのか等、ご見解を頂戴出来ますでしょうか。


「製薬協の見解」

GCP第10条第1項運用通知1(6)「治験の費用の負担について説明した文書(被験者への支払(支払がある場合)に関する資料)」 とありますように、被験者への支払いについては実施医療機関の長へ文書の事前提出が必要です。

またGCP第32条に規定されていますように、事前に提出された文書に基づいて治験審査委員会での審議が必要となります。

すなわち、GCPでは金銭、物品を問わず治験審査委員会の了承が得られれば、被験者への提供は問題ありません。
 
しかし、提供される物品によっては被験者の治験参加への誘引にあたる可能性がありますので、医療機関が提供するものとして相応しいものであることに特に留意する必要があります。





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治験の費用の負担

GCPの解説/GCPのポイント


●○● 治験の費用の負担 ●○●

「治験の費用の負担について説明した文書」について、原則として、被験者への支払に関する資料である。

(関連するGCP:GCP省令第10条第1項第6号)

第15条の7に定める「治験の費用に関する事項を記載した文書」について、原則として、被験者への支払に関する資料であること(被験者への支払いがある場合)。

この運用通知が出るまでは「治験の費用に関する事項」とは「治験責任医師に支払う治験費用」とか「施設に支払う研究費」という解釈が多数でした。

でも、この運用通知が出て、これは「被験者への支払い」であることが明記されました。

「被験者への支払い」とはフェーズ1では「謝礼」ですし、フェーズ2以降では「被験者の負担軽減費」(外来の場合のみ)ですね。




(質問)質問番号:2010-49 負担軽減費提供に代えての(被験者への)物品提供

現在、海外で実施しております弊社試験において、負担軽減費に代わるものとして、被験者への物品提供を検討しております。

国内においても、本国際共同治験への参加を検討する上で、物品提供の可否も検討事項の一つとして挙がっております。
 
そこで、本件につきましてGCP上問題となるのか、仮に問題がないとするなら、実施上どのような点に留意すべきなのか等、ご見解を頂戴出来ますでしょうか。


「製薬協の見解」

GCP第10条第1項運用通知1(6)「治験の費用の負担について説明した文書(被験者への支払(支払がある場合)に関する資料)」 とありますように、被験者への支払いについては実施医療機関の長へ文書の事前提出が必要です。

またGCP第32条に規定されていますように、事前に提出された文書に基づいて治験審査委員会での審議が必要となります。

すなわち、GCPでは金銭、物品を問わず治験審査委員会の了承が得られれば、被験者への提供は問題ありません。
 
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2012年12月05日

治験実施計画書の分冊について

●○● 治験実施計画書の分冊について ●○●


治験実施計画書に記載すべき事項で当該施設特有の情報は治験実施計画書の分冊とし、実施医療機関の長には、当該実施医療機関に係るもののみを提出することで良い。

モニターの変更はIRBの審議事項ではない。


(GCP運用通知の前文では↓)

治験実施計画書に記載すべき実施医療機関の名称及び所在地、治験責任医師となるべき者の氏名及び職名並びに実施医療機関を担当するモニターの氏名、職名及び電話番号等について、治験実施計画書の分冊とし、実施医療機関の長には、当該実施医療機関に係るもののみを提出することで良いこととした。(第7条第1項、第4項及び第5項、第15条の4第1項及び第4項、第31条第2項)




例えば、施設を担当しているモニターの氏名などはプロトコルの別冊に記載すればよく、それを該当病院に提出するだけでよくなった。

例えば、東京大学医学部付属病院の担当モニターが田中一郎君だけなら、東大病院に提出するプロトコルの別冊に「担当モニター:田中一郎」だけ記載して、この別冊は東大病院にだけ提出すればよい。

京都大学医学附属病院に「田中一郎君」の名前を書かなくてもよい。(田中君が京大病院を担当していないなら。)

これが便利なのは、東大病院が田中君から佐藤次郎君に変わった場合は、東大病院にだけその変更を書いたプロトコルの別冊を出すだけでよい。

さらにさらに!

裏ワザ的ですが、モニターが複数いる場合は「代表者名だけでもよい」とGCP省令第7条の運用通知に書かれている。
  ↓
「各実施医療機関を担当するモニター(モニターが複数である場合にはその代表者)の氏名、職名及び電話番号等については、施設に特有の情報として、治験実施計画書の分冊として差し支えなく、当該各実施医療機関の長に対しては、当該分冊のうち、当該実施医療機関に係るもののみを提出することとして差し支えない。」

・・・とあるので、モニターリーダーの名前を1名だけ書けば、それで全施設を同じ別冊でよいし、モニターが変更になっても別冊を改訂しなくてもよい。

ただし、「担当者の連絡先」ということで、担当モニターを施設に知らせる必要があるけれどね。
   ↓
「治験実施計画書又はその分冊に記載されたモニター以外のモニター及び監査担当者が診療録の閲覧等を行う場合は、モニター等の氏名等を当該医療機関が把握できるようにすること。」




ちなみに「製薬協の治験119」には次のように書かれています。

●(質問)質問番号:2011-43 治験実施計画書 分冊 モニター一覧提供の必要性

治験責任医師・実施医療機関・モニター一覧の扱いが分冊可能となり、分冊であれば自身の病院に係る変更以外は治験審査委員会での審査不要となりました。

現在稼働中の治験で分冊となっているかどうか確認したところ、モニター一覧が提出されていないところがありました。

治験依頼者に確認すると、実施医療機関には提供できないとの返答でした。

モニター一覧(当該医療機関に係るもののみ)の提出はGCP上必須ではないのでしょうか。

必須でなければ、提出は不要であり、当院担当のモニターが変更になっても治験審査委員会での審査不要としてよいでしょうか?


「製薬協の見解」

GCP第7条第1項運用通知2としまして、「治験実施計画書(改訂版を含む。)に通常含まれているべき具体的事項については、中央薬事審議会答申注1)の10を参照すること。」とされ、さらに、各実施医療機関を担当するモニターの氏名及び所属の取扱いについて規定されています。

GCP運用通知は、平成23年10月24日付けで薬食審査発1024第1号として改訂の通知が発出され、平成24年4月1日から施行となっておりますが、その補足として「この通知日以降に行われる医薬品の臨床試験については、この通知の規定を適用しても差し支えありません。」と説明されております。

この改訂通知では、治験実施計画書の分冊に記載するモニターの氏名、所属に関して、「各実施医療機関を担当するモニター(モニターが複数である場合にはその代表者)の氏名、職名」と改訂されましたので、通常は代表者のみの記載でよく、当該実施医療機関を担当するモニター一覧を治験実施計画書又はその分冊として、作成、提出する必要はありません。

しかしながら、治験実施計画書又はその分冊に記載されたモニター(モニターが複数である場合にはその代表者)でない者が診療録の閲覧等を行う場合は、当該モニターの氏名等を何らかの方法で当該医療機関が把握できるようにする必要はあります(GCP第7条第1項運用通知3)。
 
なお、モニターの変更につきましては、過去の見解(2009-12及び2009-27)にもありますように、治験審査委員会の審査は必要ございません。



●(質問)質問番号:(9) 治験実施計画書とモニターの指名記録

直接閲覧をともなうモニタリング担当者(モニター)の適格性について治験実施計画書に記載のないモニターがモニタリングを実施して良いのでしょうか?

良いとしたら、治験実施計画書にモニターを記載する意義は何なのでしょうか?


「製薬協の見解」

モニター(モニターが複数である場合にはその代表者)の氏名、職名及び電話番号等については、治験実施計画書の分冊として差し支えないとされ、また当該各実施医療機関に係るもののみの提出でよいこととなっています。

直接閲覧をともなうモニタリング時に、当該別冊に氏名等が記載されていない場合には、当該モニターの氏名等を実施医療機関が把握できるようにすることが必要となります。




●(質問)質問番号:2010-15 治験責任医師への他施設に関する治験実施計画書分冊の提供

実施医療機関の長に提出する文書に関連して、GCP第10条第1項運用通知では「第7条第1項の規定に基づき治験実施計画書の分冊を作成しており、当該分冊に記載された当該治験実施医療機関以外の実施医療機関に特有の情報を改訂する場合を除いて差し支えない」とありますが、治験責任医師には 他施設の情報であっても、提供が必要なのでしょうか。


「製薬協の見解」

治験実施計画書の分冊が、GCP第7条第1項運用通知2の規定「一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関に対して治験の依頼をしようとする場合において、実施医療機関の名称及び所在地、治験責任医師となるべき者の氏名及び職名並びに各実施医療機関を担当するモニター(モニターが複数である場合にはその代表者)の氏名、職名及び電話番号等については、施設に特有の情報として、治験実施計画書の分冊として差し支えなく、当該各実施医療機関の長に対しては、当該分冊のうち、当該実施医療機関に係るもののみを提出することとして差し支えない。」に基づき作成されたものであれば、治験責任医師に当該実施医療機関以外の分冊及びその改訂を提供する必要はありません。

ただし、治験実施計画書の分冊の記載内容が当該実施医療機関に特有の情報に留まらず、全ての治験責任医師に周知しておくべき情報まで記載されているのであれば、治験責任医師への提供は必要と考えます。


(ホーライ追記)

治験責任医師の一覧もプロトコルの別冊に記載しなくてもよい。

治験責任医師間で連絡が行えるようにしておけばよい。(たとえば、治験依頼者を通じてね。)・・・パブリックコメントの回答より。




●(質問)2012-24 治験実施計画書の別紙/分冊の保存

以下のような治験実施計画書の改訂において、実施医療機関の長が治験審査委員会(以下、IRB)への審査依頼不要と判断する場合、実施医療機関及びIRB事務局での当該文書の保存は必要でしょうか?

(ア)治験実施計画書の別紙または分冊の変更(他の実施医療機関の追加)  

(イ)治験実施計画書の別紙または分冊の変更(当該実施医療機関以外の実施医療機関に特有の情報の変更=他の実施医療機関の名称・所在地・治験責任医師の氏名・職名・モニターの情報の変更)

当方の見解は下記の通りですが、いかがでしょうか。
 
(ア)別紙・分冊の場合ともに実施医療機関・IRB事務局での保存が必要  

(イ)別紙の場合は実施医療機関・IRB事務局の保存が必要。分冊の場合は実施医療機関・IRB事務局ともに保存は不要

 
過去の治験119の見解も踏まえた上で、社内でも意見が割れており、(ア)、(イ)ともにIRB事務局で保存は不要との声も挙がっております。

なお、「別紙」「分冊」の区別については以下のように認識していますが、誤りがございましたら併せてご指摘頂けますと幸いです。

「別紙」「分冊」の区別

別紙:全ての実施医療機関の情報を集約した文書で、どの実施医療機関にも提供するもの

分冊:実施医療機関に特有の情報として、個々の実施医療機関用に作成したもの



「製薬協の見解」

治験実施計画書の分冊につきましては、GCP第7条運用通知第1項2において「一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関に対して治験の依頼をしようとする場合において、実施医療機関の名称及び所在地、治験責任医師となるべき者の氏名及び職名並びに各実施医療機関を担当するモニターの氏名、職名及び電話番号等については、施設に特有の情報として、治験実施計画書の分冊として差支えなく、当該各実施医療機関の長に対しては、当該分冊のうち、当該実施医療機関に係るもののみを提出することとして差支えない。」と記載されています。

したがいまして、実施医療機関に特有の分冊を作成している場合、治験依頼者は実施医療機関の長に対し、当該実施医療機関に係わる分冊(改訂を含む)を提出すればよく、他の実施医療機関に関する分冊を提出する必要はありません*1)。

なお、実施医療機関の長はIRBに、第32条第1項及びGCP第31 条第2項運用通知3の注釈1*2)に基づき、当該実施医療機関に係わる分冊及びその改訂を提出する必要があります。

一方、GCPにはご質問のような「治験実施計画書の別紙」というものはありませんが、上記GCPの規定を当てはめて取り扱えばよいと考えます。

すなわち、治験依頼者は実施医療機関の長に、また実施医療機関の長はIRBに、治験実施計画書の別紙及び当該医療機関に係わる当該文書の改訂を提出する必要があるものと思われます。

上記GCPの規定に基づき実施医療機関の長及びIRBへ提出された文書は、GCPで定められた期間保存しておく必要があります。

*1)「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」の運用に関する通知の改正案に関する意見募集の結果について(H23.10.28 厚生労働省医薬食品局審査管理課)

*2)GCP第31 条第2項運用通知3 注1)

実施医療機関の長は、治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書(第32条第1項参照)を最新のものにすること。治験依頼者から追加、更新又は改訂された当該文書が提出された場合には治験審査委員会及び治験責任医師に、治験責任医師から追加、更新又は改訂された当該文書が提出された場合には治験審査委員会及び治験依頼者に、それらの当該文書の全てを速やかに提出すること。



●「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」の運用に関する通知の改正案に関する意見募集の結果について(H23.10.28 厚生労働省医薬食品局審査管理課)
    ↓
http://www.jsqa.com/topics/doc/111028_GCP_public.pdf





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2012年12月04日

治験に関わる分析機器の精度管理

●○● 精度管理について ●○●

治験に係る検体等の検査機関において、当該検査機関における精度管理等を確認することとした。

バリデーション方法などを確認しましょう。

また、日々のキャリブレーションとかメンテナンス記録等も確認しましょう。

場合によっては、第三機関によって検査システムを保証している場合もありますので、それも念のために聞いておきましょう。(これは必須ではありませんが。)

複雑な手順が必要な場合はSOPがあるかも確認しましょう。

どの程度から複雑か、という定義は別にありません。

ただ、「血圧計」だったら、SOPは多分、不要でしょうね。

(関係条文:医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号。以下「GCP省令」という。)第4条第1項、第15条の2第1項)



ちなみに「製薬協の治験119」には次のように書かれています。


●「質問」(質問番号:2011-34 検査機関における精度管理等を保証する記録 )

GCPの運用通知が改正され、「治験に係る検体等の検査機関において、検査が適切に実施されて、治験に係るデータが信頼できることを保証するため、治験依頼者又は自ら治験を実施する者は、当該検査機関における精度管理等を確認することとした。」との記載がありますが、これに対して医療機関側が対応するべき具体的な項目(内容)を教えていただけないでしょうか。

「製薬協の見解」

ご質問の内容はGCP第4条第1項運用通知4として改正されたものですが、治験依頼者又は自ら治験を実施する者が確認すべき当該検査機関における精度管理等の具体的な内容及び項目等については規定されておりません。
 
ICH GCPでは、8. ESSENTIAL DOCUMENTSとしての8.2.12及び8.3.7に「To document competence of facility to perform required test(s) , and support reliability of results」(必要な検査設備の適格性と検査成績の信頼性を裏付ける)を目的とした文書が掲げられており、ここにはcertification(証明書)、accreditation(合格証)、established quality control and/or external quality assessment(確立された品質管理及び/又は外部機関による品質評価)、other validation (where required)(その他の検証(必要な場合))が例示されています。
 
従いまして、検査設備の適格性と検査成績の信頼性を裏付けることのできる文書及び記録等を準備しておいていただき、治験依頼者又は自ら治験を実施する者に提供又は閲覧等に供していただければと考えます。



●「質問」(質問番号:2012-01 検査機関における精度管理等を保証する記録)

 2012年4月より、治験依頼者による検査機関の精度管理記録確認が実施されますが、当該精度管理記録の保存期間は、必須文書と同様期間保存の義務がありますか?

「製薬協の見解」

GCP第4条第1項運用通知4に規定されていますように、治験に係る検体等の検査機関(実施医療機関の検査室等を含む。)において検査が適切に実施されて治験に係るデータが信頼できることを保証するため、治験依頼者は当該検査機関における精度管理等を保証する記録等を確認しなければなりません。つまり、この「精度管理等を保証する記録等」は、検査データ(原データ)の信頼性を支持する重要な文書ですので、GCP第41条第2項に規定されています期間中、当該文書を保存しておく必要があります。



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